アメリカ・ミシガン州のデトロイト市が財政破綻してから1カ月以上が過ぎた。負債額180億ドルという、米国史上最大級の自治体破綻である。かつて工業都市の中心を担ったデトロイト市の破綻は、日本の地方都市にとっても中国にとっても対岸の火事では済まされない。共通点は「空き家」や「空き地」の続出だ。

 空き家の出現は、生産拠点の外部への移転によってもたらされた。かつて「モーターシティ」として急成長したデトロイト市は、1950年に185万人の人口を抱えていたが、現在では半分以下の70万人にまで減少した。

 デトロイト市だけではない。アメリカでは東海岸を中心に、1960年代をピークに古い工業都市が衰退し、産業の構造転換とともに多くの工業用地が低利用地や未利用地と化した。

 この現象が見られるのはアメリカだけではない。先進国の多くの都市で、生産拠点の移動や人口増加のピークアウトとともに、続々と工場跡地や空き家が発生している。少子高齢化や経済の停滞による地価下落、企業の投資意欲減退と財政危機で、都市の衰退に歯止めをかけられないのが現状だ。

 「8万に達する空き住宅、空きビル、空き工場、それに空き地を加えて、市域の3分の1が『空き』という殺伐とした風景が出現した」(日本経済新聞、8月7日、矢作弘龍谷大学教授)と描写されるように、デトロイト市では不動産価値を失った土地や家屋が散乱している。

 その悲惨な状況は、米タイム誌のフォトエッセイをクリックすると、リアルに伝わってくる。デトロイト市には、第2次世界大戦以前から続く「デビルズナイト」という風習がある。10月30日のハロウィンの前夜に、近所の住宅に卵を投げつけるなどのちょっとしたイタズラなのだが、80年代に入るとこれが空き家への放火にエスカレートし、84年には800件を超える放火を引き起こした。タイム誌の写真には、燃え上がる住宅と消防隊員の姿に加え、焼け跡に張られたミシガン州の放火防止委員会による「保証金5000ドル」の張り紙も掲載されている。不動産価値を失った住宅ならば、いっそ燃やしてしまった方が保険金も出る、そんな思惑から自分の資産に火を放つ者も出現した。

ピッツバーグにおける「第3の力」による再生の取り組み

 かつての製鉄の街であるピッツバーグ市(ペンシルベニア州)も、同じ悩みに直面している。産業の構造転換により淘汰された工場跡地の再開発と、新たな産業育成と都市再生が目下の課題だ。特に、土壌汚染が深刻な製鉄所跡地の再生は、ピッツバーグ市に重くのしかかっている。

 ピッツバーグ市では、地元のGテックという組織による地域再生の取り組みも進んでいる。空き地や工場跡地を緑化して都市の活力を再生する「グリーン戦略」という取り組みである。