私は2012年2月、日本アドバタイザーズ協会のWeb広告研究会代表幹事として、「Cooking Big Data~マーケティングの新しい時代へ」という宣言を発表した。

 そして、Web広告研究会の参加者と共にマーケティング領域におけるビッグデータの有用性を考え始めた。Web広告研究会内にビッグデータ研究委員会を設置し、現在も研究を進めてもらっている。

ビッグデータをめぐる議論もプロジェクトも増えてきた

IBMによるWikipediaの可視化イメージ。ウィキペディアのテキストおよび画像は、ビッグデータの典型的な例である(ウィキペディアより)

 昨今は、さまざまなところでビッグデータという言葉を耳にするようになった。例えば、2013年の選挙では多くの事例があったと思う。

 2013年の参議院選挙は、インターネットでの選挙活動が解禁された最初の選挙であった。選挙期間中、多くの候補者がインターネットで情報を出し続け、有権者の側もインターネットで情報を検索したり、情報に触れることができた。

 この有権者の検索行動を使った、Yahoo! Japan の政党別獲得議席数予測なども発表されたりしている。

 このほかにも、ビッグデータの活用事例に触れる機会が増えてきたと思う。しかし、ビジネスという視点では、ビッグデータの活用によって企業が成長する、あるいは経済活動が活性化するということが重要だ。

 今回議論したいのは、ビッグデータを活用することで日本の経済は成長するのかということである。ビッグデータの学術利用や研究の領域だけでなく、企業の武器になるのかという視点で考えてみたい。そこには、実は大きな課題があると思う。

政府も重点テーマにしているビッグデータ

 2013年6月14日に、安倍政権は「日本再興戦略 -JAPAN is BACK-」を閣議決定した。この資料には、民間企業にとっても刺激的な内容が含まれている。

 目次を見るだけでも、「科学技術イノベーションの推進」や「IT が『あたりまえ』の時代にふさわしい規制・制度改革」などという言葉が並んでおり、これを実現できれば日本は再興するかもしれないと感じる。

 また、この中には「2015年度中に、世界最高水準の公共データの公開内容(データセット1万以上)を実現」といった、ビッグデータを活用する内容も含まれており、文章中に「ビッグデータ」という言葉は8回も登場している。