日本のメディアは構造不況の真っ只中。と言うよりも恐らく長期低迷の入り口に立ったという表現の方が正確だろう。これからゆっくりとしかし着実に不況の深刻さは増していくに違いない。とりわけ伝統的な紙媒体は厳しい。

タイで超豪華なフリーペーパーが大人気

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順位 タイトル
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4 東シナ海でも現実に起きている米中摩擦
5 韓国で熾烈になる地下経済摘発攻防
6 訪れた多くのドイツ人を魅了してやまない日本
7 米国で一転、急速な広がり見せる原発不要論
8 世界初のスウェーデン「買春禁止法」は有効か?
9 日本に“激辛”料理が生まれなかった理由
10 国の政策で豊かな地下資源を“棄てた”日本
11 慰安婦問題、日本版アルジャジーラで独自の発信を
12 政策以前に品性で国民から見限られた民主党
13 全力で「バカ」をやれば道が開ける、世界一のクラゲ水族館に学ぶ大逆転の秘策
14 「ワイマール化」する日本にヒトラーは現れるか
15 世界経済:新興国の大減速
16 濃縮ウランの街からヒロシマを訪ねた女性
17 どん底への競争を繰り広げる欧州自動車メーカー
18 白黒をはっきりさせたがる国民性の問題点
19 日中関係:8月15日までに何が起きるのか
20 子供の意見を尊重し、合併もやめた奈井江町

 しかし、これが日本企業が大挙して押し寄せ続けているタイの場合には全く様相が異なっている。インターネット時代だと言うのに絢爛豪華な紙媒体が急成長しているのだ。

 今回は2011年に創業したばかりの月刊の日本語情報誌「ArayZ」(発刊は2012年1月号から)を紹介したい。

 商工会議所の会員企業が世界で最も多いタイの首都バンコクには、当然ながら昔から日本語情報誌は数多くあった。

 ただそれは、日本人向けアパート・不動産の紹介やレストランの広告記事だらけの、日本人の駐在員が多い世界中のどの町にもあるようなものだった。ほとんどがタブロイド版の新聞体裁で紙質もぺらぺら。

 しかし、ArayZは、そうした日本の“伝統メディア”とは一線を画している。とても厚くて光沢のある紙を使い、高級感たっぷりなのだ。

 不動産やレストランの紹介はもちろんあるが、きちんとした政治や経済、産業の分析記事が売り物である。

 広告も日本の主力女性誌もびっくりするような世界の有名ブランドがいっぱい。日本の主力経済誌でもめったに見られない世界の超高級車の広告も入っている。

 政治経済の非常に硬派な記事と、レストランや不動産などのタウン情報、そして超有名ブランドの広告。この3つがミックスした新しい形のメディアと呼べるだろう。

 創刊からわずか2年あまりで、タイ最大の日本語フリーペーパーと呼べるまでに成長したのは、ここ数年の堰を切ったような日本企業の進出ラッシュが背景にはあるが、やはりこの斬新なコンセプトがものを言っている。