(英エコノミスト誌 2013年7月27日号)

安倍晋三首相の勝利は、日本の改革に良い影響をもたらすはずだ。

参院選、自民圧勝 衆参ねじれ解消

参院選で大勝した安倍首相は何よりまず経済問題に取り組むと語っている〔AFPBB News

 日本の本州北東部、岩手県に住む有権者である主婦のハットリさんは、2009年の総選挙で、自民党がライバル民主党に手ひどい敗北を喫するのに一役買ったと話す。

 数十年間、政権を握り続けて傲慢になった自民党は、謙虚になる必要があると考えたからだ。

 しかし、2013年7月21日、ハットリさんは、極めて重要な意味を持つ参議院選挙で、自民党に投票したという。安倍晋三首相が構想する人気の高い日本経済再生計画「アベノミクス」に魅力を感じたのだ。

有権者の声に耳を傾け、何より経済問題を優先

 自民党が圧勝を収めた直後、安倍首相が語った誓いの言葉には、確かに幾分かの謙虚さが含まれていた。安倍首相は、有権者の声に耳を傾けたうえで、政府が大切に考えるほかの問題よりもまず経済問題に取り組むと述べた。

 参議院では、3年ごとに242議席の半数が改選される。安倍政権の連立与党である自民党と公明党(仏教系の組織が支持母体)は、参議院の支配権を取り戻すために63議席を必要としていた。自民党が参議院の支配権を失ったのは2007年の選挙で、この時、民主党などの野党に過半数議席を奪われた。

 この敗北が、安倍首相の悲惨な第1次政権の終焉を早めた。その後、国会は行き詰まり、2年後に自民党は完全に政権の座から転落した。

 7月21日、選挙対策本部に「万歳!」という叫び声が響き渡るなか、連立与党は2010年に獲得した59議席に加えて76議席を獲得した。これで連立与党は安定多数を確保したことになるが、115議席の自民党単独では過半数に達していない。

 一方、民主党はわずか17議席で、非改選議席と合わせても59議席にとどまり、東京と大阪という都市部の拠点でも議席を失った。民主党でも支持者の多い幹部の細野豪志衆議院議員は、幹事長を辞職することを表明した。海江田万里代表の去就は定かではない。

 今後、徹底した内省が行われるだろう。民主党は、根本的な立て直しを行わなければ、やがて政治的にだけでなく、財務的にも窮地に追い込まれるかもしれない。

 今回の勝利で政権基盤を固めた安倍首相は、強化したアベノミクスとその3本の矢(日銀による徹底した金融緩和、10兆3000億円の追加財政出動、供給サイドの改革と規制緩和)の政策を自由に推し進められるはずだ。