参議院選挙は予想通り自民党の圧勝となった。最大の要因は、アベノミクスだ。株価の上昇、円安による好調な輸出など、少なくともどうにもならなかった日本経済の先行きに対し、「良くなりそうだ」という期待感を持たせることに成功した。

 政党はどの政党も様々な政策、公約を掲げる。原発を巡っても再稼働賛成と反対、脱原発と原発依存、TPP推進と反対、消費税増税賛成と反対、憲法改正推進と護憲等々のように。ある有権者が、すべての点で自民党の公約を支持する場合もあれば、そうでない場合もある。例えば原発再稼働には反対だが、アベノミクスには賛成するという場合もある。むしろこういうケースの方が多いだろう。

 つまり自民党を支持した人々は、「憲法改正には反対だが自民党に投票した」「TPPはよく分からないが自民党に投票した」という人々も少なくないはずだ。

 では、なぜ自民党に投票したのか。最大の要因は、アベノミクスによって経済が良くなりそうだという実感が生まれたからだ。

 誰でもそうだが、人々はシングルイシューで生きているわけではない。脱原発で飯が食えるわけではないのだ。結局、最後は経済に帰着していく。ここで少なくとも安倍自民党は、これまでのところ成功を収めてきた。選挙にとって、これほど強いものはなかったということである。アベノミクス批判をした野党もあったが、経済が回復しつつある現実の前には、撥ね返されるだけであった。

野党の責任は大きい

 選挙は予想通り自民党の圧勝となった。ここまで自民党の大勝を許したのは、野党がだらしないからだ。共産党が躍進したことは事実だが、野党全体で見た場合には、自民党、公明党連合に蹴散らされたというのが、今度の選挙の実相だ。

 与党は自民党、公明党という2党でがっちりスクラムを組んでいるのに、野党はと言えば、民主、みんな、共産、維新、社民、生活、みどり、大地など、名前も覚えられないぐらいにバラバラになっている。これでは自民党に対抗できるわけがない。野党の責任は大きい。

 投票率が50%を少し超えるだけになったのも、事前の世論調査で自民、公明が圧勝することが分かりきっていたからだ。かといって投票したい野党も存在しないということが、最大の要因だと思う。

 朝日新聞(7月24日付)掲載の世論調査によると「参院選で自民党が勝ったのは、自民党が評価されたからだと思いますか。野党に魅力がなかったからだと思いますか。」という質問に対し、「自民党が評価されたから」は17%、「野党に魅力がなかったから」というのが66%になっている。