(英エコノミスト誌 2013年7月20日号)

持続可能なエネルギーが持続不能なコストに直面している。

太陽光にあふれたアフリカ、ソーラー発電にはほど遠く

日照量の多いスペインは、太陽光発電には理想的なはずだが・・・〔AFPBB News

 アンヘル・ミラルダさんは、スペイン北部のベナバレ近郊の畑にある320枚のソーラーパネルを誇りに思っていた。この畑のパネルは、石油の輸入に依存する国に56キロワットのクリーンエネルギー発電能力を追加した。

 パネルの費用は50万ユーロ(73万5000ドル)だった。IBMのバルセロナ支店を辞めた早期退職金から15万ユーロ、残りは銀行融資によって賄った。政府はこうしたプロジェクトに対し、年率10%の投資収益を約束していた。これは2008年の話だ。

 それから5年経ち、今月7月12日に2012年から数えて3度目の補助金削減が行われた後、ミラルダさんの収入は40%減少し、融資を返済するのに四苦八苦している。「スペインには法的安全性がない」と彼は不満を漏らす。

 ミラルダさんは、失敗に終わった過度に野心的な再生可能エネルギー計画の犠牲者だ。どこの国でも政府は、クリーンエネルギーに舵を切り、環境に優しい雇用を創出したいと思っている。

 だが、スペインの例が示しているように、善意だけでは十分ではない。政策が間違っていれば、恩恵は無駄になり、雇用は失われ、コストが残る。そして事業に投資した人たちがその矢面に立つことになる。

スペイン政府の間違った政策、発電量は確かに急増したが・・・

 2007年当時、スペインには太陽光発電(PV)パネルの設備容量が690メガワット(MW)しかなかった。2007年というのは、中国での生産急増のおかげで世界的にPV価格が下落し始めた年だ。日照量の多いスペインにとって打ってつけに見えた新たな環境産業の振興を期待し、政府は太陽光発電に支払う価格を電気の市場価格の12倍まで増やした。

 ある意味では、この施策は目覚ましい成果を上げた。炭素取引会社CFパートナーズの調査によると、PVの発電容量は2008年だけで4倍に増えたという。

 太陽光のエネルギーを取り込むもう1つの技術である太陽熱発電も、装置の設置に時間がかかるために太陽光よりゆっくりではあるが、やはり大幅に増加した。太陽熱の設備容量は、2007年の11MWから現在は1950MWに増えている。

 再生可能エネルギーの生産量は2006年から2012年にかけて2倍に増えた。その時点でスペインは、世界第4位の再生可能エネルギー産業を擁していた。