このコラムの読者は、コンピュータか携帯電話を使っていることだろう。このように道具を使いこなすことが、人の特徴の一つである。そして、この道具を進化させられるのもまた、人の特徴である。人は道具を開発し、道具の使い方を覚え、生活を進化させてきた。

 唐突な出だしに思うかもしれないが、これはビジネスにおいても基本的なことなので、再認識していただきたくて書いている。ビジネスにおいて、みなさんは身近な道具であるパソコンや携帯電話を使いこなしているだろうか。例えば、資料を作ろうとパソコンに向かっているときに、キーボードを正しく打っているだろうか。

 キーボードにはホームポジションというものがあるが、きちんとそこに人差し指が自然に置かれ、両手を使ってキーボードを打てているだろうか。ウィキペディアにもタッチタイピングというページがあり、キーボードの配置と指の使い方の解説がある。

 「そんな基本のこと」とお思いになる方も多いだろうが、実はこのパソコンの歴史は長いようで短く、最初は科学者が多く使っていたものが、いまやビジネスシーンにおいて、なくてはならないツールになっている。

今、分岐点に来ているコンピュータの歴史

 少しコンピュータの歴史をひもといてみよう。日本でのパーソナルコンピュータの歴史は、1978年頃にスタートする(ウィキペディア:パーソナルコンピュータ史 参照)。初期はプログラミングを主な目的として、電子計算機として活用されていた。

 日本では、英文のようにタイプライターがほとんど普及しなかった。実際には和文タイプライターというものが存在した。しかし、私の母親が持っていたのでよく知っているが、会社の机に各自持ち込めるようなものではなかった。

 その代わり、日本語ワープロなるものがオフィスに普及した。しかし、このワープロも最初の頃は高価であったために、各自に1台ではなく、職場で共有して使うものであった。

 そしてウィンドウズ95の登場とともに、すべてのパーソナルコンピュータがネットワークにつながれ始め、ビジネスにおいては、ワープロの機能や電子計算の機能、そしてコミュニケーションの機能などが便利に使えるために、急速に1人1台配られるようになっていった。

 このパーソナルコンピュータの歴史も、スマートフォンやタブレット端末の登場により、大きな分岐点に来ている。これからの子供たちは、パーソナルコンピュータに触ることなく、タブレットでノートを取ったり、またビジネスも行うかもしれない。すると、キーボードやマウスという言葉は死語になるかもしれない。