マット安川 今回はゲストに政治評論家の浅川博忠さんを迎え、もうすぐ半年を過ぎようとする安倍政権を総点検。現状から参院選への動向、今後の展望などをお聞きしました。(編集部注:本放送は「第3の矢」が発表される前の5月31日に放送されました)

安倍政権の高支持率は3本目の矢によっては急落の危険性あり

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:浅川博忠/前田せいめい撮影浅川 博忠(あさかわ・ひろただ)氏
政治評論家としてテレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)、『政権交代狂騒曲』(講談社文庫)など、著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

浅川 安倍(晋三、首相)政権が発足して5カ月が過ぎましたが、いまも支持率が65%という高水準にあります。その背景には、「アベノミクス」や「3本の矢」と言われる経済面での効果があります。

 安倍さんは前回総理の時に1年で辞めざるを得なかったことをものすごく反省材料にして、特に前回は外交防衛の安倍ということで政策の持ち幅が非常に狭かったけれども、浪人中にかなり経済の勉強をしました。

 国民サイドから見ると、内閣を評価するかしないかの一番大きなポイントは経済です。だから今後、物価が急上昇するとか、あるいは失業率が増えるということになると、いっぺんに見離します。

 特に安倍さんがこだわっている「3本の矢」の3本目の成長戦略は世間の期待値が大きいだけに、よほどのものを出さないと、なんだその程度かということになる。ひとつ間違えるといまの高い支持率が落ちる要素になりますから、官邸でもそこは心配していますね。

 一方で、安倍さんは外交防衛に自信を持っていますから、特に鳩山(由紀夫、元首相)内閣が壊した日米関係を再構築することに一番力を注いでいます。

 ただ、中国包囲網の外遊とか、相手の神経を逆なでするようなマスコミの表現は慎んでほしいという思いがある。マスコミも外交においては国益がどこにあるかを考えなければいけない。あまり露骨に記事化して変に中国の神経を逆なでするのは、結果として国益を損なうことになりますから、オブラートに包んで表現することも必要です。

内閣の4人が密に連携、特に菅官房長官の陰の力が大きい

 いまの内閣は、安倍総理、麻生(太郎)副総理、甘利(明)大臣(経済再生担当)、菅(義偉)官房長官の4人がものすごく意思の疎通がよい。