(英エコノミスト誌 2013年6月1日号)

安倍晋三首相には、積極的に東南アジアに向かわざるを得ない外交的、経済的な理由がある。

安倍首相がミャンマー大統領と会談、510億円の円借款を供与

ミャンマーの首都ネピドーで会談する安倍晋三首相(左)とテイン・セイン大統領〔AFPBB News

 5月26日、ミャンマーのテイン・セイン大統領は首都ネピドーで日本の安倍晋三首相を迎えた時、会談の場は、歓迎ムードと、互いに対する敬意が満ちあふれていた。

 日本の首相がミャンマーを訪問したのは1977年以来のことだ。

 日本とミャンマーの外交的、経済的関係は、西側諸国が非人道的な軍事政権を遠ざけていた数十年間でさえ比較的良好だったが、両首脳の表情には、さらなる関係強化への決意が表れていた。

 野党を率いるアウン・サン・スー・チー氏とも面会した安倍首相は、テイン・セイン大統領が2011年に開始した改革を「総力を挙げて支援する」と約束した。

 日本の行動は、この立派な言葉に見合うものだ。安倍首相はミャンマーの対日債務18億ドルの返済を免除し、支援のためさらに5億ドルの融資を約束した。日本は既に1年半前から様々な約束をしている。例えば、商業の中心地ヤンゴンのすぐ南に位置するティラワ経済特別区に関するものなどだ。

 日本はティラワの計画にまず2億ドルを投じることになっている。ティラワには、沈泥で水深が浅くなってしまったヤンゴンの港に代わり、新しい港が建設される。安倍首相のミャンマー訪問には、数十人の企業経営者が同行した。首相は経営者らに、この国でビジネスチャンスを探すよう求めた。

中国に対する「ヘッジ」

 ミャンマーはこのところ、東南アジアで最も多くの投資を日本から引き寄せているが、ほかの国も日本の気前の良さから恩恵を受けている。昨年12月の安倍政権の発足以降、閣僚たちは東南アジア各国の首都を次々と訪れ、投資や支援などの話を持ち掛けている。

 日本の狙いは、10カ国が加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)での存在感を高め、日本経済を活性化させることにある。ASEAN諸国は世界でも数少ない、経済が好調な地域だ。