北朝鮮の挑発的な言動やミサイル発射とも思われる動きが続いている。期日の経過とともに、「宣伝戦」の様相を強くしてきたが、昨年末のミサイル発射や今年2月の核実験では、世界中が裏をかかれる状況であった。だからこそ、自衛隊は防衛大臣の破壊措置命令を受けて、PAC-3を首都圏中心に配備して緊張感をもって対応している。

 そうした中で、全国紙は4月14日、続いて5月9日、「明日の朝刊は休みます」の知らせを掲載し、一斉休刊した。本来ならば、「明日は休刊日の予定でしたが、非常時のため変更します」というのが、取るべき姿勢ではなかったのだろうか。

 日本を含めた周辺諸国の現状に鑑みるとき、この時期に一斉休刊日を設定することは、「非常時」を非常時と思わない異常神経がもたらした結果ではないだろうか。

チラシや景品で購読を増やす邪道

 俗に、景品とチラシが購読者を惹きつけるとも言われる時代であるが、言論を商売とする新聞にあっては恥ずべきことに違いない。ここはやはり、中身で読者を惹きつけてもらいたい。

 国内外の近間の情報は言うに及ばず、国家・国民のあるべき姿、向かうべき方向などにも歴史を参考に触れつつ、英知を傾けた新聞にしてほしいものである。そうすることによって、言論の力も見直されるだろうし、新聞が社会の木鐸と言われる本来の意義もあろう。

 今回のような状況下で、既定の一斉休刊日を墨守するという頑なな姿勢は情報を主体に扱う新聞社にふさわしいのであろうか。非常時には、たとえ「休刊日」と決まっていても、変更して「こと」が収まった後に改めて休刊日を設定するという自由度は持ち合わせていないのだろうか。変更できなかった理由が、確(しか)とあるに違いない。

 統一一斉休刊日でなく、各社ばらばらの休刊日設定であるならば、「こと」が起きた時の休刊新聞社は、情報の読みに疑問を呈されることもあろう。それこそが新聞社の能力でもあるのだろうから致し方がないが、こうした試練を通して、情報感覚が研ぎ澄まされ、国民の期待に沿う、また理に叶う正当な競争が行われるわけで、大いに推奨されることではないだろうか。

 自衛隊に破壊措置命令が出され、一部とはいえ部隊が実戦態勢で展開する非常事態とも称すべき状況下にある今、既定通りの一斉休刊日に固執する新聞社とは一体、どんな社是を掲げているのだろうか。国民の常識と著しく乖離していると言っても過言ではない。

 私は、某紙編集長に大要下記のようなメールを送信せずにおれなかった。

 14日の貴紙で「明日は休刊日」と平然と書かれているのを見て、開いた口が塞がらないと言うか、愕然としました。配達員や記者の安息日が必要なことは分かります。

 しかし、今回は北朝鮮が弾道ミサイルを発射する兆候を見せており、しかも、以前のような事前通告もないため、自衛隊としては対処能力を有する数少ないイージス艦やPAC-3をどこに配備したらいいか苦慮していると聞きます。

 もちろん、自衛隊全体が緊張感をもって業務につき、また諸外国に派遣されている防衛駐在官は情報収集で駆け回っているはずです。場合によっては日本の某所で存亡にかかわる事態が起こるかも知れないときです。