ロシア、プーチン大統領のエネルギー政策

安倍首相訪問、ロシア発展のベクトルは東方に向かう

2013.05.09(木) 杉浦 敏広
    http://goo.gl/v5J6b
  • 著者プロフィール&コラム概要

安倍晋三総理が4月末訪露しました。まず、直近のロシア・エネルギー事情を整理しておきたく思います。

 ロシアでは現在、ウラジーミル・プーチン大統領と大統領側近によるエネルギー業界の地殻変動が深く静かに進行中です。一方、大統領府と内閣府との確執も徐々に表面化してきましたので、近々、ロシアでは内閣改造があるかもしれません。

プーチン大統領のエネルギー政策/地殻変動が進行中

2012年のプーチン大統領の世帯収入、報道官より低かった

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領〔AFPBB News

 本稿では今、ロシアのエネルギー業界で何が起こっているのか一つひとつの事実を検証しながら、ロシアのエネルギー産業は今後どう変貌するのか、予測していきたいと思います。

 筆者の前号にて、プーチン大統領が昨年12月の大統領年次教書にて、「21世紀には、ロシア発展のベクトルは東方に向かう」と演説し、東シベリア・極東開発公社設立構想を温めていること。

 および、プーチン大統領は今年2月13日、モスクワ郊外の大統領別荘にて『ロシア燃料・エネルギー分野発展戦略・環境保護大統領諮問委員会』(通称、『エネルギー大統領委員会』)の定例会を主催。その席上、政府に対し、LNG(液化天然ガス)輸出に関する段階的自由化の検討を指示したこと等をご報告しました。

 従来、ロシアでは国策ガス会社たるガスプロムに天然ガス輸出の独占権が付与されていました。ゆえに、LNG輸出の自由化検討はガスプロムによる天然ガス輸出独占の一角が崩れ、ロシアの他社がLNG市場に進出可能となることを意味します。

 では、ロシアの他社とは、具体的にどのような会社を指すのでしょうか?

 それは、プーチン大統領最側近の1人、イーゴリ・セーチン氏が社長を務める国営石油会社ロスネフチと、同じく最側近の1人、ゲンナージー・チムチェンコ氏が共同オーナーを務める、独立系ガス会社としてはロシア最大手のノバテック社です。

 ロシアのガス産業においては、ガスプロムの凋落とロシア第2の天然ガス会社ノバテックの躍進、および石油産業では、ロシア国営石油会社ロスネフチがガス産業に進出しようとしているのです

ロシア極東LNG構想/競争激化

 日本を中心をとするアジア市場を視野に入れたロシアの極東LNG工場新設プロジェクトは現在、下記3構想が競合しています。

(1)極東LNG構想 (ロスネフチ構想/今年2月13日発表)
(1')サハリンLNG構想 (ロスネフチ構想/今年4月11日発表)
(2)ヤマールLNG構想 (ノバテック構想/北極圏ヤマール半島)
(3)ウラジオストク(浦塩)LNG構想(ガスプロム構想)

 上記のうち、(1)と(1’)は実質同じ構想です。要は、LNG工場建設場所をロシア極東大陸側(デ・カストリ)にするか、サハリン島にするかの違いです。

 ロスネフチと米エクソン・モービルは2月13日、極東にLNG工場を建設する構想を発表しました。その後、ロスネフチのセーチン社長は4月11日、サハリン州の州都ユージノ・サハリンスク(旧豊原)を訪問。

 ホロシャビン州知事とサハリン島にLNG工場を建設することで基本合意に達し、極東のウラン・ウデに滞在中のプーチン大統領とTV会談にてこの旨を報告しました。セーチン社長まさに東奔西走、随分とスピード感のある進展具合ですね。

1
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

Toshihiro Sugiura (公財)環日本海経済研究所共同研究員

1973年3月 大阪外国語大学ドイツ語学科卒

1973年4月 伊藤忠商事入社。 輸出鉄鋼部輸出鋼管課配属。ソ連邦向け大径鋼管輸出業務担当。 海外ロシア語研修受講後、モスクワ・サハリン・バクー駐在。 ソデコ(サハリン石油ガス開発)出向、サハリン事務所計7年間勤務。伊藤忠商事/アゼルバイジャン共和国バクー事務所6年8カ月勤務。

2011年4月 バクーより帰任。

2011年5月 (財)日本エネルギー経済研究所出向、研究主幹。2015年3月伊藤忠商事退職。現在、(公財)環日本海経済研究所共同研究員
 

ロシア

ロシアは日本の隣国にもかかわらず最も遠い国の1つでもあった。しかし両国間の経済関係が密接になる中で、ロシアを正しく知ることは不可避である。このコラムでは日本を代表するロシアの専門家が様々な角度からロシアと周辺国を鋭く斬る。

>>最新記事一覧へ