中国共産党と南北朝鮮の最近の暴挙が図らずも日本を普通の国に脱皮させる道を早める方向に誘導しつつあるように思える。

 先の総選挙で日本国民は3年3カ月にわたる民主党の政権に愛想を尽かし、安倍晋三首相が以前から主張していた「戦後レジームからの脱却」を実現して「美しい日本」を再構築する方針を改めて選択した。

現実の世界はポピュリズムでは生きていけない

 戦後60年にも及ぶ自民党政権の継続が、先の大戦で完全に廃墟と化した日本の復興に偉大な業績を残したことは歴史の事実であり、世界の奇跡と言われる経済の繁栄を実現した。しかし、同時に自民党の長年にわたる政権保持は、党員の緊張感を欠如させ、驕りと腐敗を招いて3年3カ月に及ぶ民主党政権に座を譲るという壊滅的な大敗北を喫してしまった。

 政権末期には、「戦後レジームからの脱却」を宣言していた第1次安倍政権が短命に終わったことにも起因するが、中国の目覚ましい経済発展と韓国の追い上げを目の当たりして自民党がこれまで日本人としての誇りの回復を本来の基軸として進めてきたが軽率にも時の流れであるポピュリズムに迎合して日本の向かうべき道筋を少し踏み外してしまったことが敗北につながったと思う。

 また、その結果として多くの国民の自主・自立心が弱くなり、勤勉さ・誠実さなどの徳目が陰ることによって公徳心や勇気・積極進取の気概の後退とともに経済も低迷し始めた。

 これを挽回すべく、莫大な借金をしてポピュリズムに迎合的な政策で起死回生を図ったが及ばず、後進の中国・韓国に技術者と技術が資金と共に流出したうえ、今現在1000兆円という天文学的な負債を抱えてしまう国になった。

 これらの自民党の不始末に業を煮やした国民は、受けの良い“マニフェスト”なる非現実的な巧言にまんまと騙されて「一度くらい民主党に政権を渡してみるか!」と考え、どのような力量の人物が立候補者かも吟味せず、こぞって“民主党”に投票してしまった。

“巧言令色は、鮮ないかな仁”(論語)

 その結果、民主党政権が始動すると、直後から猫の目のように変わる“朝令暮改”の大臣発言、党内の“目糞鼻糞のような”幼稚な議論と低劣な意見・主張の争い、自己抑制が利かない議員による学級崩壊状態の会議、国会議事堂をファッションショーの場とはき違える議員、予算の捻出は無駄のカットでいくらでも可能と言って長年積み上げてきた匠の技や高度な特殊技術の現場・研究の実態を無視して必要不可欠な経費にまで大ナタを振るい、挙句の果てには自分たちの都合に合わない場面になると独裁的な強権を発動することもあった。

 その大ナタを振るっても切り詰めた予算編成ができず“マニフェスト”の実現には程遠い内容の政策遂行に、毎年莫大な国債を発行して将来を見通せない空前の大型予算へと肥大化させた。

 そして、自民党の政権時代に14年もの長きにわたって血の滲むような関係者の努力の結果、ようやく解決目前であった普天間基地の移転を白紙に戻したうえ、日米中の等距離三角外交と称して日米間の信頼関係を危うく喪失手前にまで落としてしまった。

 さらには、東アジアは“友愛の海”なる夢想を抱いて厳しい国際政治に持ち出したところ、尖閣諸島や竹島、北方領土に関しては今の日本こそが「草刈り場のチャンス到来」と言わんばかりの近隣諸国の暴挙を誘発する事態へと発展させてしまうこととなる。

 要するに民主党には政権を担当できる人材がほとんどいないうえ、心構えのない状態で予期に反する大勝利で政権を得たが、国家戦略の何たるかを勉強したことがない素人集団が一夜漬けの知識で重要ポストに就いたわけであって国政の重責を担えるはずもなかったと言える。

 今回の総選挙でも“柳の下の泥鰌”を狙って“雨後の筍のごとく”国内を吹く風を頼りに“付け焼き刃”の各種政党が乱立したが、今度ばかりは国民も騙されなかったようで日本民族にもまだ正常な判断ができることが明らかになったことは幸いである。