G7各国の政策金利動向を見ると、6月1日にいち早く利上げに動いたカナダを唯一の例外として、残る6カ国(独仏伊は欧州通貨統合に参加しているので4つの中央銀行)の政策金利については、ボトム水準に張り付いた状態がこのまま長期化することが避けられそうにない情勢である。

 カナダの場合は、米バブル崩壊による金融システムの傷がきわめて浅かったこと、資源国であることといった好条件が重なり、2007年7月以来となる利上げを0.25%幅で実施した。しかしこの動きにしても、自国の景気回復度合いをにらみつつ金融緩和度合いを調整(部分解除)する、同時に翌日物金利の変動幅(コリドー)を正常化するという理由付けがなされており、インフレ予防のための本格的な金融引き締めではない。カナダ銀行は声明文で、かなりの先行き不透明感が存在するとして、追加利上げには慎重な姿勢を明示していた。

 G7の中央銀行、およびG7外ではあるが欧州の国の中で比較的注目度が高いスイスについて、主要政策金利がボトム水準でどの程度「滞留」したのかを、前回局面と今回(直近)局面について比較してみたのが、下表である。

 市場機能を維持するという目的から0.1%までの利下げにとどめている日銀以外は、前回局面と同水準かそれよりも低い水準へと、各国が主要政策金利を引き下げたことが分かる。利上げに転じることができていない米国と英国については、前回のボトム水準「滞留」期間をすでに上回っているほか、量的緩和の世界に足を踏み入れている。物価安定とともに最大雇用も法的な責務となっている米連邦準備理事会(FRB)は、9%台後半というきわめて高い水準で推移している失業率が持続的かつ十分に低下し、5~6%台へと低下する見通しが立ってくるまでは、利上げ方向の動きは取れないのではないか。米国の利上げ時期は、2012年1-3月期にずれ込む公算が大きくなったと、筆者は考えている。