南国新聞 2013年1月17日号

 KLセントラル駅の近くにある、ミュージアム・ネガラ(国立美術館)でちょっと珍しい展示会・「世界マスク展」が開催されている。マレーシアをはじめ、世界各地から集められたマスクが美術品として展示されている。

 「マスク展」と聞いてもいま一つ興味の湧かない方も多いかもしれない。「ただの、かぶりもの」と思いがちだけど、これが意外と奥が深く、面白い。変わったデザインやモチーフのマスクを芸術品として見ることもできれば、マスクに秘められた意味や習慣を知ることでその土地に根づく文化を垣間見ることもできる。

マレーシアに残るマスク文化

カリマンタン島で使われていたマスク。五穀豊穣を願ったり、大切なゲストをもてなす時に被られていたもの

 マレーシア東半島には、サバ・サラワク州を中心に現在においても先住民族の文化が色濃く残る。

 サラワク州の先住民であるオラ・ウル族(Orang Ulu)は、宗教的な儀式や祭典のためにマスクをつける習慣が現在でも続いている。

 また、先住民の間では、マスクには魂が宿るとされ、伝統舞踊や病気の治療を行う際に用いられたという。

 マスクのデザインに目を向けると、顔全体がすっぽり隠れてしまうほど大きなマスクが多く、木を用いて作られている。

 鼻が異常に高く、日本の天狗に似たような顔立ちをしたものや、人間と動物を融合させたデザインのものなどバラエティーに富んでいる。派手に色付けされたものは少なく、木の特徴を生かし素朴なマスクが多いように思う。