多くの主要国で重要な選挙があった2012年が過ぎ去り、新しい政権の枠組みの中で2013年が始まった。これからのロシアはどうなるのか。様々な諸条件が複雑に絡み合う中で展望は容易ではないが、年の初めの初夢にかこつけて、半ば強引に考察を試みたい。

 まず、周知の通り、昨年はロシアではウラジーミル・プーチン氏が大統領職へ返り咲いた。一方、米国では共和党のミット・ロムニー候補の挑戦を、辛うじて現職のバラク・オバマ大統領が退け、まもなく2期目に突入する。

丁々発止を続けるロシアと米国

米国人による養子縁組を禁止、露新法案は「適切」とプーチン大統領

米国人による養子縁組禁止に支持を表明するプーチン大統領〔AFPBB News

 前回の拙稿掲載時点からの動向を記しておけば、ロシアのWTO(世界貿易機関)加盟承認に関わる恒久的正常貿易関係(PNTR)の付与は認められたものの、いわゆるセルゲイ・マグニツキィ法が成立して米国はロシアの非人道的統治のあり方に対して異議申し立てを継続している。

 これに対して、ロシア側も反養子引き渡し法を採択し、ロシア人の養子を米国人に引き渡すことを禁止する方策に出た。これはロシア出身の養子が米国で「非人道的な」取り扱いを受けていることに抗議するものである。米ロ関係のジャブの応酬はまだまだ続くようだ。

 そんな折、2012年12月、米国の主要な情報機関が結集して編纂された「2030年の世界(“Global Trends 2030”)」リポートが公表された。

 これは1996年から4年おき4度発表されており、米国の外交政策策定の基本的なシナリオとなるものであり、これを解析することは今後の世界の動向を見据えるためにも重要である。

 日本についての展望もあり、それはそれで非常に興味深い論点をたくさん含んでいるのではあるが、ここでは米国がロシアの近未来をどう見ているかについてピックアップしながら、紹介することとしたい。

 まず、「2030年の世界」リポートの基本線だが、中国およびインドの国際的な影響力の増大の一方で、欧州、日本、ロシアの影響力は低減すること、ならびに、いわゆる非西欧の新興国が影響力を強め、とりわけこれら新興国が集団として連帯することで世界システムにおける一大勢力になるとしている。

 従来の大国からなる国際システムの様相が様変わりし、ロシアの影響力の減退は、避けられないものというのが基本的な見方だ。

 では次に、ロシアの今後20年の姿について、より詳細に見ることにしよう。