今週世界のマスコミは、広東の週刊誌「南方周末」の新年社説が、同省共産党委員会宣伝部からの圧力で「すり替え」られた事件を大々的に報じた。不思議なことに記事の多くは、同事件が中国における「報道の自由」を求める動きの一環であるかのように捉えている。

 中には「中国のジャーナリストは検閲との戦いに勝てるか」と題する(およそ的外れな)記事まであった。筆者の見立てはちょっと違う。こんなものはしょせん、共産党「党内派閥」同士の軋轢に過ぎないと思っているからだ。

 というわけで、例によって、今回も筆者による独断と偏見を御紹介しよう。(文中敬称略)

何が起きたのか

「南方週末」検閲で抗議デモ、人気俳優らも支持表明 中国

南方周末の本社前に集まったデモ参加者〔AFPBB News

 各種報道を総合すれば、事実関係は概ね次の通りらしい。

●中国広東省の週刊誌「南方周末」が1月3日号で政治の民主化などを求める社説を掲載しようとしたところ、地元広東省共産党委員会宣伝部の指示で記事が大幅に書き換えられた。さらに、これに反発した同誌記者らがストライキを始めたため、騒ぎは一層拡大した。

●これに対し、1月7日付「環球時報」は「政府に公然と刃向かえば必ず敗者となる」などと警告しつつ、「騒ぎが収まるように協力してほしい」と呼びかける社説を掲載した。さらに、党中央宣伝部は同社説を転載するよう指示する通達をほかの新聞各社に出した。

●多くの新聞は1月8日付朝刊でこれを転載したが、「南方周末」の姉妹紙である北京の「新京報」は転載しなかった。その後、当局からの再度の指示もあり9日付朝刊に内容の一部が掲載されたが、「新京報」社長は通達そのものに抗議し、辞任すると表明した。

●1月7日、国際ジャーナリスト連盟が習近平総書記に本件の調査を求める声明を発表、香港記者協会も同日、広東省側に調査を要請した。さらに8日には、米国務省報道官が「メディアへの検閲は、情報に基づく近代的な経済、社会を建設するとの中国自身の目標と相いれない」と批判した。

●一方、ストライキ中だった「南方周末」記者らは1月8日、胡春華・広東省党委書記の仲介で経営者側と協議した結果、職場復帰に同意したと報じられた。「南方周末」今週号は予定通り発行、同省宣伝部長はいずれ更迭され、ほとんどの編集部員は処分されないという。

 読者の皆さんは、こうした報道を読んで、「何かおかしい」とは思わないだろうか。筆者ならこう言うだろう。「広東と中央の宣伝部は一体何をやっているのか、しっかりせい!」