1 はじめに

 日本政府は、政権交代目前の平成24(2012)年12月21日、安全保障会議と閣議を開き、国連平和維持活動(PKO)の一環として、日本から約9000キロ離れたイスラエルとシリア国境にあるゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF:United Nations Disengagement Observer Force)に派遣している自衛隊部隊の撤収を承認した。

 (大臣命令では「ゴラン高原国際平和協力業務の終結」となっているが、PKO参加5原則に「撤収」との文言あり、かつマスコミも「撤収」との文言を使用しているので、「撤収」との文言を使用する)。

 シリア情勢の悪化に伴い活動開始から17年目で自衛隊の部隊派遣を終結することとなったが、治安情勢を理由として派遣を打ち切るのは本派遣が初となる。

 ゴラン高原派遣部隊は、その主力33人が12月31日帰国、隊長以下も、1月中には帰国、帰国報告を行って、17年の長きにわたる活動を無事に終了する。まずは、その労をねぎらい、関係諸氏の御苦労に対し深甚の敬意と感謝を述べたい。

 本稿は、本派遣の意義を確認・総括し、今般の撤収判断を検証し、将来の自衛隊派遣の参考の資を得んとするものである。