北米報知 2012年12月6日50号

 新しい社会へ敏感に歩を進める米国社会。なかでもシアトルは、社会環境の調査を行う「SastainLane.com」の2008年度の「米国における最も持続可能な都市」で、ポートランド、サンフランシスコに続き第3位にも選ばれた。近年新たに社会にインパクトを生み出そうとしているのがコワーキングスペースと呼ばれる交流オフィスだ。

 サンフランシスコを発祥とし、ビジネス起業やフリーランスの仕事のために集まる交流オフィスであるコワーキングスペース。

 個人レベルでは資金や情報源に限りがあり機会に恵まれないが、同じ倫理観を持つ者同士でアイデアを共有し、実現可能な企画へと作り上げる。「知恵」と「情報」を共有するための施設だ。

 シアトルにも各所に点在し、世代を問わず利用者が連日足を運んでいる。同じコンセプトのコワーキングスペースでも、目標や参加者で、スペース自体の雰囲気も全く違うものとなる。

区切りないスペース 仕事交流の場

Hub Seattle の様子

 THE HUBは2005年、ロンドン発祥で誕生し、現在は世界に26カ所ある。作業スペースは区切られず、座席は利用者が好きな場所を確保できる「オープンシェアオフィス」が特徴だ。会員同士を結びつける「ホスティング」に力が入れられている。

 シアトルには2年前に開設、メンバー数は約200人という。10月に移転を済ませたばかりで、雰囲気は真新しい。メンバー同士が話し込んでいる空間もあれば、真剣に自分の仕事に集中している姿も見える。

「HUB Seattleはタウンスクエアというアイデアがあり、シアトルでのソーシャルエンタープライスや人々を繋げる中心的役割を担うことが目標です」と話すのはHUB Seattleの主要メンバーのひとりリンゼイ・エンフさん。

 去年からHUB Seattleを利用しているというエルダン・ゴールデンバーグさんは、「将来は、自分が今まで手をつけたことのない新しい分野のビジネスを開発したい」と語る。さまざまな分野で活躍する他の利用者とアイデアを共有し、今後を模索する。

Eメールで会員全員に質問

 キャピトルヒルの中心部から外れたところに建つOffice Nomadsは2007年11月1日に設立された。会員は約110人、1日平均40人が利用する。

 自分の専門分野以外の知識を必要とするときや、アイデアを求めるときは、参加メンバーにEメールを送ることができる。

 「お互いを知らなかったのに、数分でうちとけ、そこから数カ月一緒に仕事をして新しいビジネスを生み出す、ということがよくあります」とオーナーのスーザン・エヴァンズさんは話す。