マット安川 投票直前の放送となった今回。幾度となく番組にご出演いただいている藤木会長を迎え、いまこそ考え直したい日本の義理と人情と恩義、をテーマにお話を伺いました。

日本人に備わった優秀なDNAにもっと自信を持て

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:藤木幸夫/前田せいめい撮影藤木 幸夫(ふじき・ゆきお)氏
横浜港運協会会長、藤木企業株式会社 代表取締役会長。 実業家として港湾産業の近代化に取り組み、また長く日本の港湾行政に携わる。(撮影:前田せいめい、以下同)

藤木 中央自動車道の笹子トンネルでああいう事故がありましたが、要するにインフラの老朽化があちこちで起きているということです。

 それはインフラだけではなく、政治も老朽化している。モノだけじゃなく、人間の気持ち、日本人独特の昔からの倫理学である義理や人情も老朽化というか、失われてきている。でも、これから直していけばいいんです。

 これは杉良太郎さんから直接聞いた話ですが、被災地の三陸の避難所で、小さな子どもにお菓子をあげたそうなんです。坊や、食べなさいと。そしたら、その子は「ありがとう」と言って、そのお菓子を救援物資を集めてあるところに持っていって置いたというんですね。自分で食べようとはせず、みんなで分けるんだと。

 それを見て杉さんは涙が出たとおっしゃっていました。これが日本という国なんだと。私もホロっとしましたよ。親が教えたのか誰が教えたのか知らないけれど、日本人は特性としてそういう気持ちを持っているんです。

 例えば、川があります。川には必ず源流があり、そして最後は海に流れ込む。源流からクネクネ曲がって、小さい流れがいろんな変遷を遂げ、大きくなって海に注ぐ。川自身はその中でいろんな文化を重ねる。文化というのは栄枯盛衰があります。眺めのいい川と汚い川が1つの流れの中にあるんだけれど、それは一つの歴史なんです。川の歴史です。

 ただ、流れている水は一つです。川は変わるけど、水は変わらない。これが今の日本で一番大事なことです。世の中は変わる、激変する。しかし、流れている人間、日本人という人間は変わらない。何千年という歴史の中で、先祖が積み重ねてきたDNAがある。

 港の話で言うと、荷役の能率性の高さは世界のどの国もマネできない素晴らしさがある。これは我われのDNA、日本民族の優秀性です。このことにみんなもっと自信を持たなければいけません。