週刊NY生活 2012年11月3日418号

トラッドの街、午前7時開店

 夢は実現するために見るもの――。その言葉を体現した日本人の夫婦がいる。20年前、鎌倉のスーパーの2階でスタートしたシャツ屋さんは、その精緻なもの作りの技術とこだわりの高品質で、現在日本全国に23店舗を構え、年間70万着を販売する日本屈指のシャツメーカーとなった。

マジソン街に10月30日午前7時にオープンしたNY店の店頭で貞末良雄会長(右)とタミ子社長

 「鎌倉シャツ」の愛称で知られるメーカーズシャツ鎌倉の創業者、貞末良雄会長と妻、タミ子社長のニューヨーク進出という念願の夢が10月30日現実のものになった。

 場所は、若き日、共に働いたVANジャケットのスピリット発祥の地、アイビーリーガーたちが闊歩するマジソン街の目抜き通りだ。

 開店の前日、ハリケーン・サンディがNYを直撃した。市内の交通網は全て止まり、自らの滞在先も停電に見舞われた。しかし、午前7時、予定通り開店した。服飾評論家の出石尚三氏、くろすとしゆき氏ら大勢の仲間が日本からエールを贈る。

 メイド・イン・ジャパンの復権。ピナクル・オブ・パッション、情熱の塊。日本人メンズファッションの悲願達成に胸を張って拍手を贈りたい。

2012年10月27日417号   鎌倉シャツNY出店

トラッドにこだわり本場逆上陸

 「鎌倉シャツ」の愛称で知られるメーカーズシャツ鎌倉(本社・神奈川県鎌倉市)は、海外初となるシャツショップを10月30日、マンハッタンのマジソン街400番地(47丁目と48丁目の間)にオープンする。

 同地域は、ブルックス・ブラザースやJプレスなど米国メンズショップの老舗が軒を連ねるトラディッショナル・アメリカン・アイビー・リーグ・スタイルの聖地で、その中心地に日本人の高度で精緻な物作りの技術を武器に乗り込む。

 同社は1993年創業。東京を中心に日本全国で23店舗を展開している。会長の貞末良雄氏と夫人で社長の貞末タミ子氏が、共に日本で一時代を築いた人気ブランド、VANジャケットの出身者と聞けば、そのアイビー精神が筋金入りであることは容易に想像がつく。

 コンセプトは日本のショップと同様、メイド・イン・ジャパンにこだわり、上質な綿100%のシャツを求めやすい均一価格の79ドルで販売する。品揃えはメンズを中心にアメリカサイズと日本サイズを用意する。店舗の外観や内装は、英国風のクラシックな古き良きアメリカをイメージしている。

 名著『ザ・アイビー・ルック』の共著者であるグラハム・マーシュさんは、同店のニューヨーク出店について「本を執筆した当時から日本人の米国アイビールックに対する深い愛情については知っていた。

 その精神をしっかりと踏襲したエクセレントな日本のカンパニー、鎌倉シャツがアイビールックの牙城であるニューヨーク市に出店すると聞いて驚いた」とメッセージを寄せている。

 営業時間は平日が午前7時から午後8時。土・日、祝祭日は午前9時から午後7時。平日早朝の開店はブレックファストミーティングに走るニューヨーカーに対応。電話212・308・5266。ウエブサイトはこちら