柿の葉を付けた天ぷらはどんな味?

新色の「葉っぱビジネス」最前線(前篇)

2012.11.02(Fri) 田中 淳夫
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 今年は各地で紅葉が遅れがちだが、奈良の西吉野の山々に広がる柿畑は、いよいよ紅色に染まり始めた。柿の葉に描かれる緑から赤へと続くグラデーションが美しい。

 この色づいた柿の葉から、食の世界に新たな商品を生み出そうと悪戦苦闘する人がいる。奈良県五條市にある「枝木屋長兵衛」の山田博記さん(62)だ。

柿の葉のパウダーとチップ。チップには色づいた葉を使っているので、ほのかに赤い。香りと効用を謳うが、これをどのような使い方を提案するかは研究中。(写真提供:山田博記氏)
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 「今、力を入れているのが、柿の葉のチップとパウダーです。口にするとかすかな柿の風味が広がります。天ぷらの付け塩などのほか、フレンチや中華にも合って、赤や緑の色合いも料理に花を添えます。健康にもよい成分が含まれているのです。昨年のフード展では、一流ホテルの総料理長が何人も絶賛してくれました。ただ、本格的に利用してもらうには、価格や使い方などにもうひと工夫が必要になります」

 これまで柿と言えば実を収穫するものであり、葉に眼を向けられることはあまりなかった。しかし、新緑や紅に染まった柿の葉は美しい。しかもビタミンCやポリフェノール類が非常に多く、強い抗酸化作用があるほか、血圧を下げるなどの効能があることが確認されている。そこに商品化の可能性があると睨んだのだ。

 最近注目を集めつつある葉っぱビジネス。2回にわたって挑戦者を紹介するとともに、その可能性と鍵となる点を考えてみたい。

始まりは徳島県の山村から

 これまで農作物として考えられにくかった樹木の葉っぱに、新たな価値を見出す農業ビジネスが話題を呼んでいる。

 葉っぱの商品化と言えば、誰もが思い浮かべるのは徳島県の山間部にある上勝町だろう。上勝町が1987年よりスタートさせた「いろどり」事業は、今や年商2億6000万円にも成長した。これは「つまもの」、つまり料理の盛りつけを美しく彩る季節の葉や花などを販売する事業のことだ。

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1959年大阪府生まれ。日本唯一の森林ジャーナリストとして、主に森林や林業をテーマに取り組むほか、山村社会の文化や田舎暮らしなども追いかけている。著作に『割り箸はもったいない?』(ちくま新書)、『森林からのニッポン再生』『森林異変』(以上、平凡社新書)、『日本人が知っておきたい森林の新常識』『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』(以上、洋泉社)など多数。


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