北米報知 2012年9月20日39号

 シアトル地域の公共交通機関が実施する、シアトル市内ダウンタウンの無料ゾーンが29日から撤廃される。40年近くにわたり続いてきたサービスの停止により、ダウンタウン間の往来などに影響を及ぼしそうだ。

無料ゾーンが撤廃されるシアトルダウンタウンの公共交通機関(写真:佐々木志峰)

 無料区間はダウンタウンを走るトンネル区間に加え、南北はサウスジャクソン・ストリートからバッテリーストリート、東西はウォーターフロントから6番、もしくは8番アベニュー。

 パイオニアスクエア、インターナショナル・ディストリクト、一部ベルタウンなどを含む。午前6時から午後7時の間毎日実施されてきた。

 地元メディアのシアトルPIによると、ダウンタウンに入る交通機関「メトロ」、「サウンドトランジット」、「コミュニティートランジット」を合わせると1000万人を越える利用者がある。

 一方、乗り入れ本数が多いこともあり、ダウンタウン間の気軽な移動に利用されてきた面もあり、交通機関「メトロ」によると、2010年度は乗車利用数約840万人のうち、無料区間のみの利用客は約1/3になるという。

 1973年9月にシアトル市と公共交通機関との協約によりダウンタウンのビジネス支援を目的に実施され39年、同区画の交通予算は市が補ってきた。近年は年間220万ドルの費用が必要とされ、支出を抑える上でやむをえない措置ともいえる。

 今後はバス課金が全路線で一本化されることもあり、料金は乗車時に支払うことで統一される。また降車は車椅子利用者などをのぞき、なるべく後部ドアを利用するように呼びかけている。

 ライトレイルはダウンタウントンネルで課金していることもあり、電車とバスにおける料金の兼ね合いも問題視されてきたが、今回で解決されることになる。

 近年はダウンタウン近くの路上駐車が午後8時まで課金されるようになるなど、地域交通サービスは毎年値上がりが進んでいる。一方、シアトル市では自転車共有レンタルのサービスも計画されており、常に新たな形で公共交通サービスが模索され続けている。

 各地域のコミュニティーの変化により、バス路線も必要に応じて変更される。今回の無料区間廃止を機に、大幅な路線改革が行われることも明らかにされている。

 メトロでは主要トランジット間を結ぶラピッドライドはダウンタウンとウエストシアトル、バラード間を結ぶC、D路線が開通する。また一般路線32、40、50、61、62が開通するが、15、17、18、23、34、35、39、45、46、51、53、54、56、81、85、134はサービスが終了する。そのほか、スケジュールやルート変更など約60路線に変更が加えられる。

 詳しくは(206)553-3000 もしくはウェブサイトまで。

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