日本ではあまり知られていませんが、オバマ大統領は健康診断の際に大腸を内視鏡ではなく、CT(3D-CT内視鏡)でチェックしています。

 オバマ大統領の健康診断結果はこちらから確認できます(これを見ると、オバマ大統領が喫煙者であったことが分かったりもします)。

 アメリカでは大腸がんはがんによる死亡原因の2位を占めています。日本でも年間10万人が発症し、特に女性においてはがんの死亡原因のトップです

 とはいっても、大腸がんの多くは成長が遅いため、早期発見すれば90%以上の確率で完治します。内視鏡検査を数年おきに受けていれば、大腸がんによる死亡リスクをほぼゼロにすることができると言ってもいいでしょう。

 ですが、日本においては、大腸がんの便検診(便潜血検査)を受けている人は、約30%程度です。さらには、検便検査で陽性でも、大腸内視鏡検査や注腸検査などの精密検査(2次検査)を受けている人は60%程度です。

 つまり、検便検査を受けてがんの疑いありと診断が出ても、半数近くの人が「痔からの出血だと思うから」「大腸検査がつらいから」などの理由で、精密検査を受けていないのです。

 大腸がん検診をきちんと受けている人口の割合が低いというのは、アメリカでも事情は同様です。

 以上のような状況の中で、オバマ大統領が大腸検査をしっかり受けるのは当然でしょう。

 でも、なぜ、大腸内視鏡検査ではなく、CT内視鏡を受けたのでしょうか?

 消費税増税決定後、医療を成長分野に掲げている日本において、この理由をもう一度考え直すのは、非常に有益なことだと私は思うのです。