週刊NY生活 2012年8月11日407号

 ロンドン・オリンピックで日本選手が活躍しているが、その姿をニューヨークから感慨深げに見守っている日本女性がいる。クイーンズのフォレストヒルズで不動産業を30年以上営んでいる奥山愛子さん(72)だ。

日本人の活躍嬉しい

奥山愛子さん

 奥山さんは、1964年東京オリンピックの代々木選手村で通訳として勤務した。山形県寒河江市仲町の駅前にある旅館の娘として生まれた奥山さんは、小さい時から外国人と接する機会があり、外国に憧れを持って育ったという。

 共立女子短期大学英文科を卒業後、昼はサンタ・マリア学院の講師を、夜は交通公社(現JTB)のガイド、英会話学校の受付をやったりして英語をマスターした。

 オリンピックの通訳の募集を知って、自分の語学力を試すためとさらに勉強するために応募して、五輪通訳の採用試験にパス。

 「英語だけでは、何か持って来てくれといわれても、部屋の番号も分からない場合が多く、せめて数を言えるくらいには数か国語を理解していなくては」と当時の研究熱心だった奥山さんの様子が、昭和39年10月7日付読売新聞「五輪で働く」という囲み記事に記されている。

東京五輪の選手村で通訳仲間たちと(右から2人目が奥山さん/写真・本人提供)

 2年後の66年、訪日旅行でお世話した米国人女性社長の招きでカリフォルニア州サンディエゴに。

 グレイハウンドで10日かけて大晦日に着いたニューヨーク。お正月にはさっそく、日本クラブの新年会でコートチェック、ハットチェックの仕事をしていた。

 ハンターカレッジで学士(BA)卒、ニューヨーク大で不動産ライセンス資格を取って82年に「奥山不動産」を開業、30年たった現在も看板を掲げている。

 五輪の日本人選手の活躍をテレビで見て「うれしい、うれしい、本当にうれしい」と笑顔を見せた。

(三浦良一記者、写真も)

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