世界的な金融市場の混乱が、5月25日も続いた。欧州の信用不安問題に代表されるリスク要因の増大に加え、リスクポジションを削減しようとする投資マネーの大きな潮流が根底にある動きであり、「1つの時代が終わった」という実感を、筆者は深めている。「質への逃避」が加速する中で、日米欧の長期金利は低下余地を模索する動きを強めており、達成感はまだ出ていない。

 東京市場では、朝鮮半島情勢の緊迫が追加的な悪材料になり、日経平均株価は9500円をあっさり割り込む動き。ユーロ/円相場は110円を割り込んだ。債券相場は急上昇し、20年債利回りが節目の2%を下回って1.965%まで低下。10年債利回りは1.2%を下回って1.190%まで低下した(2009年12月1日以来の低水準)。

欧州市場では、「質への逃避」が強まる中で、独10年債利回りは2.56%まで低下し、過去最低水準を更新。ドイツ財務省が空売り規制の対象を拡大する法案を提示したとの報道もユーロ売り圧力を強める材料になり、ユーロ/円相場はさらに円高余地を模索。一時108.83円まで下落した。

 米国市場では、ニューヨークダウ工業株30種平均が前日比292ドルほど急落して9774.48ドルをつける場面があった。だが、米5月の消費者信頼感指数が市場予想を上回る63.3に上昇したことがきっかけの1つになって、取引終了にかけて買い戻しが入り、終値は1万0043.75ドル(前日比▲22.82ドル)と、1万ドル台を維持した。欧米株価の急落場面で米国債は買い進まれ、10年債利回りは米国市場の取引時間帯入り前に、一時3.06%まで低下する場面があった(2009年4月29日以来の低水準)。

 市場の混乱は、これからも続く可能性が高い。どうすれば、あるいはどうなれば、この株安・債券高・円高の流れが止まるのだろうか。

 まず言えるのは、今般の世界的なリスク回避志向の強まり・リスクポジション削減の動きの原因になっている数々の問題は、いずれも解決・解消までに時間がかかりそうな性質のものだということである。

 ユーロ圏の信用不安問題の解消や、制度的欠陥の修復には、プレーヤーの数が多いだけに、どうしても時間がかかる。金融の規制監督強化の流れもまた、各国ごとに動きが出ていることに加え、G20の議長国であるカナダが銀行税導入に強硬に反対していることもあって、政策協調の落としどころは見えていない。朝鮮半島情勢の緊張も、すぐに解消する類の話ではないだろう。最近の北朝鮮の動きを見ていると、金正日総書記の政治的なグリップが緩んでいる、あるいは国際情勢についての判断能力が鈍っている印象さえ受ける。

 次に、経済政策面では、どの国の政策当局者も表立って言うことはないが、手詰まり感が漂っている。

 グローバルな金融市場の混乱と景気「二番底」懸念の再浮上は、財政政策を出すことで解消するものではない。「ソブリンリスク」という言葉に集約される各国財政の持続可能性に市場の関心が移行しているだけに、下手に景気下支えや不安心理払拭を狙って財政を出動させると、逆効果であろう。