5月24日の米株式市場では、ニューヨークダウ工業株30種平均が急反落。前週末比▲126.82ドルで、終値は1万0066.57ドルになった。米国債利回りは「質への逃避」で低下した。筆者は当面の市場全般の見通しについて、「ギリシャの財政赤字膨張・デフォルト懸念は、欧州全体の信用不安問題へと拡大。さらに、ドイツが単独で導入した空売り規制をいわば『触媒』にして、グローバルなリスクポジションの縮小が加速することにもなった。そうした流れが当面続きそうである」と、5月24日作成「あえて探してみた『ギリシャ経済にとって明るい要素』」の冒頭でコメントした。5月24日の場合、住宅バブル崩壊の後始末に直面しているスペインの中央銀行が経営難の貯蓄銀行を公的管理下に置くと発表し、ドルLIBOR3カ月物が0.5%台に上昇。ユーロ圏の金融システムや経済の先行きに対する市場の不安心理が増幅されて、米国株の売り圧力が強まった。

 上記の記事で筆者は、「このタイミングで米国の経済指標下振れが続くようだと、株価の下落圧力が一段と強まりかねない」とコメントした。24日に発表された米4月の中古住宅販売は、住宅減税終了前の駆け込み需要で押し上げられて、年率577万戸(前月比+7.6%)になった。先行指標である中古住宅販売保留指数の動きに沿った動きだが、水準は市場予想を上回った。このため、ニューヨークダウは前週末比プラス圏にわずかに顔を出す場面もあったが、長続きしなかった。それは、駆け込み需要の反動がこの先間違いなく出てくることに加えて、販売戸数が急増した4月についてさえも在庫が増加していたため、住宅需給が悪化して価格下落につながることが警戒されたからであろう。販売在庫は404万4000戸(前月比+11.5%)で、月間販売戸数に対する販売在庫の比率は8.4カ月分(前月比+0.3カ月分)になった。適正水準は5~6カ月分とされている。

 速報性のある統計である、米抵当銀行協会から週次で発表されている住宅ローン申請指数を見ると、住宅減税の効果はすでに剥落したようである。5月14日までの週の購入用指数(1990年3月16日=100)は192.1で、2週間前(4月30日までの週)に記録した直近ピークからは100ポイントほど、水準を切り下げた。