アレルギー表示はいつまで不十分なのか

食品表示はどう変わる?(前篇)

2012.07.06(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 外食の場合、店内で調理して提供するとは限らない。特にチェーン店などでは、工場で調理加工して各店舗に配送するセントラルキッチン方式を採用しているところもある。この場合、店頭で原材料や調理方法の変更を頼むことはできない。

 検討会では、「客の注文等に応じて様々なメニューを手早く調理する中、全ての中食や外食が専用の器具により調理するなど、コンタミネーションの防止対策の措置を取ることは困難」との意見も出ている。

 実際にアレルギー表示が義務化された場合、コンタミネーションの防止や表示の切り替えなど、どれくらいのコストがかかるのか。コストを価格に転嫁するとしても、消費者に納得して負担してもらえるのはどの程度か。消費者と事業者の双方にとって納得のいく落としどころを探すことが必要だろう。

 中食や外食での情報提供は、表示のガイドラインを策定しているものの、これまで自主的な取り組みにとどまってきた。

 中食では、日本惣菜協会が2011年に「惣菜・弁当の情報ガイドライン」で原料原産地やアレルギー表示を定めている。外食では、農林水産省が2005年に「外食における原産地表示に関するガイドライン」で原料原産地の表示を定めているが、アレルギー表示についてまでは言及されていない。

 アレルギー表示は義務化されるのだろうか。検討会では、6月28日時点で「食品表示一元化検討会報告書(案)」の検討中で、結論は出ていない。しかし、報告書案では「消費者庁は、中食や外食のアレルギー物質の表示について、(中略)アレルギー表示に関するガイドラインの策定を支援する」という文言にとどまっている。今回の検討では、ガイドラインの策定を進めるのみで、外食や中食にアレルギー表示を義務づけまでには至らない模様だ。

 「知りたい」消費者と、「一律な対応は難しい」事業者。両者の間にある溝を埋める作業はこれからも必要だ。

(後篇に続く)

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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