アレルギー表示はいつまで不十分なのか

食品表示はどう変わる?(前篇)

2012.07.06(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 コンタミネーションを防ぐには、十分な器具の洗浄、アレルゲンを含まない製品から順に製造する、専用器具を使うなどの対策が必要になる。しかし、シラスを漁場で採取したときカニが混ざっているなど、工場の管理だけでコンタミネーションを完全に防ぐことは不可能な場合もある。人によっては微量なアレルギー物質で発症する可能性もあるため、注意喚起が必要になる。

外食や中食のアレルギー表示は義務づけられていない

 検討会では、惣菜や弁当などの中食や、外食での表示の義務づけを議論している。

 現在、外食や、店頭で量り売りされる惣菜やパン、注文を受けてから作られる弁当には、法律に基づく表示義務はない。アレルギー表示も義務づけられていない。デニーズ、ロイヤルホスト、ジョナサン、CoCo壱番屋などの一部のレストランチェーンでは、自主的にアレルギー表示を行っている。しかし、一般的ではない。

 消費者庁によると、表示が義務づけられていないのは、「店頭で注文する際に店員に聞けばいい」という理由からだ。店員に直接、原材料や調理方法の変更を頼めばいい、というわけだ。しかし、店員の中にはアレルギーに対する十分な知識がなく「入っていない」と誤認してしまうケースもある。

 乳アレルギーの子を持つ母親が、飲食時に店員にその旨を伝えところ、牛乳だけを避ければいいと誤認してバターを使っていたという話もある。店員の勘違いや確認が不十分だったための過誤もある。

 2004年に東京大学医学部附属病院の今村知明助教授(当時)らが実施した「食物アレルギー発症リスク軽減のためのリスクコミュニケーション調査研究」によると、急性・重度のアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを誘発した原因は「容器包装加工食品」が29.4%となった一方で、「店頭販売品(惣菜)」が21.0%、外食 が6.5%に上った。加工品のみならず、店頭で販売されている惣菜や外食でもアレルギーが発症したケースは多いのだ。

コストがかかるアレルギー表示

 外食や惣菜に表示が義務化されれば課題も出てくる。店側は、コンタミネーションを徹底的になくすか、コンタミネーションの可能性があることを表示で示すか、といった対応を迫られる。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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