アレルギー表示はいつまで不十分なのか

食品表示はどう変わる?(前篇)

2012.07.06(Fri) 白田 茜
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 この例を見ても、表示項目が多く読むのに苦労する。消費者への意識調査では「文字をもっと大きく」「情報が多すぎる」といった声も上がっている。

 多くの情報が書かれていても肝心な情報を得にくいという問題点もある。商品の「名称」は見つけやすいが、「消費・賞味期限」「遺伝子組み換え」「アレルギー表示」は目立たないため見つけにくいという声もある。

 特に食物アレルギーのある人にとっては、原因となる食品を避けるために食品表示は重要だ。

 食物アレルギーとは、食物を摂取した際、身体が食物に含まれるタンパク質を異物として認識し、過敏な反応を起こすことをいう。主な症状は、かゆみ、じんましん、目の充血、喉の腫れ、嘔吐、下痢などだ。重篤な場合は呼吸困難、不整脈による心停止、血圧の低下なども起き、最悪な場合、死に至ることもある。日本では年間3人程度が亡くなっている。

 消費者庁によると、「食物アレルギーの正確な人数は把握できていないが、日本の全人口の1~2%(乳児に限定すると約10%)が何らかの食物アレルギーを持っていると考えられる」という。

 現在、加工食品のアレルギー表示は「卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに」の7品目に義務づけられている。任意表示は「あわび、いか、いくら、さけ、さば、オレンジ、キウイフルーツ、バナナ、もも、りんご、牛肉、鶏肉、豚肉、ゼラチン、くるみ、大豆、まつたけ、やまいも」の18品目だ。

 消費者庁は重篤で病例数が多い7品目に表示を義務づけ、過去に一定の頻度で健康被害が見られた18品目に表示を推奨している。

 だが近年、表示義務がない米やゴマなどから重篤なアレルギー症状が出る事例も増えている。表示義務がなくても「原則としてすべての原材料を明示してほしい」というアレルギー患者の声は大きい。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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