北米報知 2012年5月23日22号

 米北西海岸部の政治家らは17日に行われた公聴会で、沿岸警備隊と海洋大気庁(NOAA)に対し、東日本大震災と津波で発生し、西海岸へ到達するとされる洋上漂流物の対応について説明を求めた。

 日本の環境省によると、震災による洋上漂流物は岩手、宮城、福島三県から約500万トンが流出。150万トンが漂流中で、一部はすでに北米西海岸沿岸に到達した。

 家屋や船、家具から出た漂流物は、今後2年をかけて米北西海岸に流れ着くとされ、16日付のニューズ・ウィークリー紙電子版によると、犠牲者の遺骨も漂着する可能性もある。

 NOAAは漂流物の正確な量や、環境に及ぼす影響に関する結論はまだ出ていないとしたが、政治家らはNOAAが軍隊や国土安全省によるサテライト映像といった最新技術の利用に乗り出していないと反論した。 

 NOAAは最新の予算案で財政削減されたばかりだが、自治体レベルでの対応にも限界があり、大規模な撤去作業となれば、州政府と連携して対応する必要がある。

 マリア・カントウェル連邦下院議員によると、ワシントン州の沿岸経済は年間100億ドルの経済効果と16万人以上の雇用を生み出す主産業のひとつだ。

 生態系への悪影響、さらには漁業、航海の安全、観光への影響も懸念され、より入念な調査と、漂着前の早急な対応が強く求められている。

(福岡 玲子)

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