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顧客に購買動機を与える「共感性」と「必然性」

ソーシャル化する社会が世界を大きく変え始めた(9)

2012.06.07(木) 小川 和也
    http://goo.gl/VeOY4
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商品そのものよりも"ストーリー"が共感を呼ぶ

1.購買行動のソーシャル化における「共感性」

 フェイスブックなどのソーシャルメディアの中では、友人知人同士がコミュニケーションを行っているのが常態だ。

 そこにセールスマンが訪れ唐突に商品の説明をしたところで、購買へつながるきっかけは生まれ難い。そこで生まれやすいのはむしろ反感だ。作為的な拡散訴求は危険であるし、だからこそ、企業(販売主)が主導権を持てないのだとも言える。

 ソーシャルメディアの外の話であるが、各種分野でトップセールスの実績を上げている人のスタンスを聞くと、「商品ではなくストーリー」を売っている場合が多い。

 例えば、知り合いのカーディーラーのトップセールスも、お客に車そのものの説明はたいしてしないのだという。その代わりに、その車を持ったとすれば、どれほど日々の生活が便利で楽しいものとなるかを相手のパーソナリティに合わせてイメージし、伝えることを大事にしている。

「高級住宅購入で新車プレゼント」、デンマーク

商品スペックだけではない、「ストーリー」を利用したセールスが功を奏する〔AFPBB News

 その結果、多くのお客に支持を受け、突出した販売実績を上げている。面白いのは、転職し取り扱うメーカー・車種が替わっても、トップセールスの座を守り続けているということだ。

 つまり、販売する車にさほど左右されていないし、彼自身も人気車であろうとなかろうと、そのスタンスは変えずに成果を上げている。これはまさに、「商品ではなくストーリー」を売っているからだと言えよう。

 ソーシャルメディアの中において、ユーザーが特定の商品・サービスへ関心を持ち購買に至る場合、友人や知人の見解がその商品・サービスの付加価値となり、そこへの共感が起点になることが多いと考えている。

 それはコミュニケーションの延長線上に生じる共感だと言える。

 その場合、“単なる物の情報”よりも“その物を含んだストーリー”の方が共感を伴いやすい。これは、先のカーディーラーが「商品ではなくストーリー」を売り成功していることにも通じる面がある。

 ミクシィが、今年の3月21日にリリースしたソーシャルコマースサービス「mixiモール」(以下リンク)の視点も、まさしく共感と消費活動の結びつきにある。ミクシィはそれを「共感消費」と称し、友人の感情が伴った行動の共有を通して、新たな消費活動(共感消費)を創出することを目指しているという。

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Kazuya Ogawa

アントレプレナー / デジタルマーケティングディレクター / 著述家
西武文理大学特命教授

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慶應義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年グランドデザイン&カンパニー株式会社を創業、代表取締役社長に就任。数々のITベンチャービジネスや、デジタルマーケティングディレクターとして大手企業や行政、アーティスト等の先端的デジタルマーケティング事例を数多くつくり続けている。

ビジネスだけではなく、デジタルと人間や社会の関係の考察と言論活動を行っており、著書、寄稿、講演、メディア出演多数。主な著書に、「デジタルは人間を奪うのか」(講談社現代新書)、日本で初めての概念をテーマとした「ソーシャルメディアマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルメディア維新」(共著・毎日コミュニケーションズ)、「Facebookマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルブランディング」(共著・インプレスジャパン) など。

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