脱ジャンク給食! 肥満退治に動き出した米国

ジェイミー・オリヴァーとミシェル・オバマの挑戦

(佐々木 順子)

米国人は大きくなり続けている。現在、米国民の6割以上が過体重(肥満の一歩手前)または肥満の状態にある

食習慣の改革は街ぐるみで

にんじんとセロリを握ったパンク風の『フードレボリューション』ロゴ

 番組の第1話、ジェイミーは小学校のカフェテリアを訪ね、「朝食にピザを食べさせるとは」と不快そうな顔をする。数値上の栄養基準を満たしているとしても、朝から冷凍加工食品を子どもに食べさせるのがヘルシーと言えるのか。「フライドポテトは野菜か?」「チョコレートミルクは牛乳か?」 ジェイミーの闘いが始まる。

 給食の調理員は、自分たちの仕事が否定されている気がして面白くない。それに生鮮食品から食事の支度をするのは手間も時間もかかる。

ナゲットばかり食べている小学生に、生の丸鶏を見せて部位を教える

 『フードレボリューション』のサイトによれば、連邦政府は給食1食あたり、学校に2.65ドルを支払っているが、実際に給食に使われているのはそのうちのたった1ドルだ。ハンティントン市の担当者も健康的な給食を望んでいるが、在庫や予算の調整交渉に骨が折れるのでちょっと憂鬱そうだ。

 「手で簡単に食べられるジャンクフードばかり与えず、フォークとナイフを使う本物の食べ物を子どもに体験させるべき」。ジェイミーからの提言で、校長は長い間使っていなかったフォークを出してきて、昼食時に自ら使い方を指導し始める。

グリーンピースの着ぐるみを着て食事指導

 番組はジェイミーの様々な取り組みを映し出していく。一般家庭を訪ねて加工食品の危険性を教え、献立を指導する。街にジェイミーズ・キッチンという施設を設置して、料理を教える。高校生や大学生をスカウトして、運動の先頭に立ってもらう。

 番組には予想以上の反響があった。番組サイトの掲示板では、視聴者による議論が盛んだ。「ジェイミーが作った焼きそばのレシピを教えて」「給食改革のため市を動かす方法は?」「この番組を見て家庭で改めたこと」など、様々なトピックに対し、親や教師からの投稿が目立つ。

ナゲットと炭酸飲料を主食にする子供たち

 カリフォルニア州オークランドの貧しい地域の小学校で教えていたティナ・ヘリンジャーさんは、生徒の食生活についてこう振り返る。

 「学校のカフェテリアの食事は冷凍の揚げ物に偏っていて、カロリーはあっても、栄養バランスなど考えてない。朝食を摂らずに通学してきている子どもが多く、いつもお腹を空かせている。だから、炭酸飲料をがぶ飲みする。糖分過多で落ち着きがないという悪循環に陥っていました」。

 ティナさんは、「食べ物についてもっと知ってほしい、健康について考えてほしい」という思いから、ある日、授業中に生徒をデリカテッセンに連れていった。「ラベルをよく見て、加工食品を避けること」という条件を付けて、生徒たちに自由に選ばせて自腹でランチを食べさせたそうだ。

 「子供たちが、普段、食べることのないサンドイッチやサラダを喜んで食べていたのが忘れられない。ジェイミーのやっていることは素晴らしいと思う」とティナさんは賞賛する。

 アリゾナ州ツーソンに住むティム・ヒューアーさんはこう語る。「うちは肥満家系で、父は3度の心臓発作を経験して心臓移植までした。私も肥満気味だったけれど、意を決して9キロダイエットしました」。

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