マハティール 国にとって活力の基とも言える中小企業も育たない。それが欧米諸国の問題なのです。リーマン・ショックでそれがはっきり目に見えているにもかかわらず、分かっていないのです。

 最近、英国で暴動があったでしょう。起きるべくして起きたと思いますよ。もはや彼らは貧乏なのです。お金を稼げないのだから貧乏な国民として行動しなければならない。

 翻って我々です。私たちも欧米との付き合い方を変えなければなりません。欧米の国々は貧乏であるという前提でビジネスをしなければなりません。

 彼らはすでに貧しいのだから、もしあなたたち(日本)の製品が高ければ売れませんよ。

高賃金に慣れ切ってしまった日本

川嶋 日本は中国とも競争をしなければならないとのご指摘がありました。中国の通貨、元は操作されて安いままです。この影響は日本を含めたアジア、そして世界経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

マハティール 中国の元は確かに安すぎると思います。しかしそのこと以上に重要なことは労働力が極めて安いという実態です。しかも人口は13億4000万人もいる。

 中国は雇用を生み出すことを最優先しているので、中国の人たちは低賃金でも我慢して働こうとします。しかもよく働く。これに対して日本は高賃金に慣れ切ってしまっています。

 確かに元が安いのは事実ですが、中国の人口パワーと低賃金を武器とした生産性の高さと世界は競争しなければならないということです。

 いまの中国の状態は、日本の第2次世界大戦後から復興に向かった時期と非常に似ているのではありませんか。日本も低い賃金で極めてよく働きました。だから世界で最高の競争力を手にすることができた。中国はかつての日本の位置にいるということです。