恋愛や結婚生活は、消費行動と同じように、経済学の理論がたくさん当てはまります。商品の売買と同じように、私たち自身も商品であり、お互いを売り買いしていると考えると市場経済メカニズムが作動していることになりますので、経済学や経営学で使っている理論を適用することができるわけです。

 すでにこの連載においても、「投資とリターン」とか、「等価交換」とか、「物々交換」とか、数多くの経済用語を用いてきました。

 今回は、結婚といった長期保有の場面では、避けることができない経済学の法則の1つ、「限界効用逓減の法則」について解説します。

 この用語を用いることによって結婚や恋愛がうまくいかない根本の原因を探ります。

「限界効用逓減の法則」とは?

世界最大のビールの祭典「オクトーバーフェスト」開幕

1杯目のビールはうまい!〔AFPBB News

 「限界効用逓減の法則」とは、消費財を消費すれば消費するだけ、満足の総量は増えても、満足度は徐々に減少していく、ということです。

 例えば、甘党にとって1つ目のケーキはおいしいです。辛党にとっては、暑い日の最初の生ビールは最高においしいです。

 ところが10個目のケーキは? 2杯目の生ビールは? 3杯目は? さらには10杯目は? 飲めば飲むほど、満足の総量は増えてはいきますが、満足度自体はだんだんと下がっていきます。これを限界効用逓減の法則と言います。

 結婚に関わるほとんどの行動、感情はこの法則が当てはまります。と言いますか、当てはまってしまうのです、残念ながら。

 ですから、結婚はうまくいかない。人間の情動はそのように作られているのですから。

 結婚生活を継続していくうえで最も消費されていくもの3つ(セックス、見かけ、幸福)を取り上げて、セックスの満足度の低下、見かけへの慣れ、幸福度の減少を解説してみましょう。