4月18日、ロシアの国営系石油企業ロスネフチとエクソン(エクソンモービル)は、両社によるロシアと北米での石油開発相互乗り入れの合意内容を発表した。ロシア政府からは副首相のイーゴリ・セチンがわざわざニューヨークに出向いて、この発表の場に参加している。(文中敬称略)

条件交渉に半年以上を費やす

メキシコ湾で爆発の石油基地が水没、原油流出

海洋での開発はリスクが大きい。写真は2010年にメキシコ湾で事故を起こした海洋石油掘削基地〔AFPBB News

 両社の協力合意は、その大枠が昨年の8月にすでになされていたから、これまでの半年超の間を具体的な条件交渉に費やしていたことになる。

 ロスネフチが保有するロシア北極海・黒海でのオフショア(大陸棚洋上)鉱区開発へのエクソンの参画(持ち分33%)はすでに知られており、その見返りにロスネフチがエクソンから何を得られるのか、が今回発表された内容だった。

 それに従えば、同社はエクソンが保有するメキシコ湾でのオフショア案件や米国・カナダでのシェールオイル生産計画への参画(持ち分30%)が叶い、またロシア内の開発ではその探鉱費用の32億ドルをエクソンが負担する。そしてエクソンも西シベリアのタイトオイルの探鉱で新たにアクセスを得た。

 セチンによれば、ロシア内のオフショア開発では2012年に探鉱作業が開始され、2014~15年に試掘井を掘削、そして2016~17年にFID(最終投資決定)を行い、順調に進めば2018~20年で生産が始まることになる。

 両社の合意からはいくつかの点が窺える。まず指摘できるのは、ロシアが自国の石油生産量を維持していくためには、資金もそうだが特に技術の面でメジャーの助けを借りねばならないところまで来ている点だろう。

困惑するガスプロムとロスネフチ

 2008年にロシアは大陸棚法と地下資源法を改正し、ロシア領内のオフショア開発への外資参入を原則禁止するとともに、国内企業であってもその参入の権利をガスプロムとロスネフチの2社に限定した。

 戦略的に重要な部分は外資や外資が間接的に参入する可能性がある私企業には触らせない、という発想である。

 だが、選ばれたガスプロムにもロスネフチにも、これまでオフショア開発という経験がほとんどない。お名指しを政府から受けたのは名誉なことだが、2社ともに内心ではどうしたらよいのか困り切っていただろう。

 ガスプロムなどは、単独でバレンツ海でのオフショア石油生産計画(プリラズロムノエ油田)に取りかかっても、15年近くを経てまだ生産開始にたどり着けずにいる有様である。