547.桜桃の味 1997年イラン映画

桜桃の味

(監督)アッバス・キアロスタミ
(出演)ボマーヨン・エルシャーディ、アブドルホセイン・バーゲリ

 主人公は車を流しながら、自分の望みを叶えてくれる相手を探している。

 その望みとは「明日、穴に横たわっている私の名前を呼んで、返事があれば助け起こし、ないようだったら、土をかけてくれ」というもの。

 高価な報酬も用意しているのだが、望みをかなえてくれる人はなかなか現れない。逆に自殺についてコーランに記された部分を講釈されたりしてしまう。

 しかし、ある老人が望みを受け入れてくれることになった。

 実は、その老人も、かつては自殺を考えたのだという。しかし、老人は生きることを決意した経緯を主人公に話しだし・・・。

 実に重いプロットだが、見る者を苦しめるようなセンチメンタリズムに走らず、自然、人生とは何たるかを考えるようになる作品となっている。

 1997年カンヌ映画祭パルムドールを日本映画『うなぎ』(1997)と分け合った作品である。