「チャイナ+1」という言い方がある。中国をメインにしつつも、中国の賃金上昇や労働争議など労働事情の悪化を考慮して、中国以外にもう1つ拠点を持つ動きだ。

 今まではタイが人気を集めてきたが、2008年末の空港閉鎖に象徴される政治的不安定、2011年秋の大洪水などで相対的な地位を低下させ、代わってインドネシアが脚光を浴び始めた。インドネシアは政治的にも安定し、地理的にもアジア中央に位置し、しかもここ数年人件費がほとんど上がっていない。

 最近、それを象徴するようなニュースが伝わってきた。富山県金型協同組合がインドネシアに工場をつくるというのだ。

インドネシアで金型の新規受注を目指す

 名称は「TOYAMAプレシジョン・モールド・インドネシア」。場所はジャカルタ市街地から東へ約35キロメートルのジャバカチカラン工業団地。首都ジャカルタから学園都市であるバンドンへ向かう街道沿いにある。2012年2月10日に工場の開所式を終え、2月末にも稼働を開始するという(日本から送っている機械の到着が少し遅れたとか・・・)

 敷地は2070平方メートル、工場は鉄骨平屋建て943平方メートル。事業費は1億5000万円を予定している。資本金60万ドルの99%を富山県金型協同組合が出資して、2011年9月に現地法人を設立。直後から工場建設を始めた。

日嶋精型(南砺市)の嶋田社長

 代表は富山県金型協同組合の理事長である日嶋精型(南砺市)社長の嶋田宏樹さんが就任する。現場の責任者には組合の営業部長であった副社長の長久隆男さんが現場で腕を振るう。

 組合の各社から、ボール盤、平面研削盤、レーザー加工機等の中古機械を持ち込み、マシニングセンター、CAD/CAMと3次元測定器などは新規に購入する。

 現地では金型経験者や熟練工が少なく、公募して現地で採用した7人を教育訓練しながら、開業後はこのインドネシア人技術者7人と、組合から派遣する日本人技術者3人の合わせて10人でスタートする。当面はインドネシアにおける金型のメンテナンスおよび部品加工から手がけ、金型の新規受注につなげていく考えだ。