今回から中東情勢についてもコラムを書かせて頂くことになった。書くことは山ほどあるのだが、肝心の題名が決まらない。中東といっても言語、文化、宗教など千差万別だからだ。

イランが観測衛星の打ち上げに成功

2月6日、イランは国産の観測衛星「ナヴィード」の打ち上げに成功したと報じた〔AFPBB News

 すったもんだの末「一神教世界の研究」という題名に辿り着いた。「中国株式会社の研究」同様、末永くご愛読願いたい。

 さて記念すべき初回は現代中東における戦争の戦い方を考える。

 過去六十余年中東で行われた武力行使を、武力行使容認決議がある場合、自衛のための武力行使の場合、それ以外のカテゴリーの3つに大別した上で、噂される対イラン核関連施設攻撃の可能性について分析したい。

国連憲章の規定

 ちょっと難しい言葉が並ぶが、戦争に関する国際法にしばしお付き合い願いたい。まずはあまり馴染みのない国連憲章の関連条文から始めよう。

●すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。(国連憲章第二条4項)

 伝統国際法の世界で「戦争」は国家の権利だった。権利であるからこそ日本国憲法はこれを「放棄」できた。ところが1928年のパリ不戦条約と1945年の国連憲章により、国家による武力行使は原則として違法となった。簡単に言えば、今や戦争行為は国際法違反なのである。

 それではなぜ国家は今も軍隊を持つのかと問われそうだ。実はこの武力行使、原則は違法なのだが、それには例外がある。その例外を定めたのが次の規定だ。

●この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。(国連憲章第五十一条)

 要するに、相手側が違法な武力攻撃を行ってきた場合、自衛権を発動すればこちらの武力行使は合法化されるという仕組みだ。