取材すればするほどアホらしくなる・・・。これが2010年4月に行われた事業仕分け第2弾(前半)を取材しての率直な感想だ。

必殺仕分け人、枝野幸男行政刷新担当相と蓮舫参院議員

 2009年11月の事業仕分け第1弾について、筆者は合計10時間以上の議論を現場で聞いた上で「いろいろな意味で画期的」と当コラムで評価した(「公開処刑」それとも「人民裁判」?)。是非をめぐって国論を二分するような大型プロジェクトではないが、多くの場合は予算が通っても新聞記事にもならない個々の国家事業に潜む無駄や利権構造を、公開の場で役所の論理とは無縁な民間人らが暴いていくプロセスがそれなりにスリリングだったからだ。大方の国民も同じことを感じ(もしくはそれぞれに異なる点に魅力を見い出し)、鳩山政権の支持率を力強く下支えした。

 新政権はそれ以来、鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長をめぐる「政治とカネ」の問題や米軍普天間基地の移設問題の迷走など、数々の自滅的な失点を重ねた。その結果、発足当初に軒並み70%を超えていた支持率は20%台の危険水域にまで落ち込んだ。鳩山首相は支持率回復のため、事業仕分けで名を上げた枝野幸男氏を行政刷新担当相に起用し、その第2弾に政権浮揚を懸けた。

 総花的に国や独立行政法人の事業を取り上げていた前回に対し、今回は独立行政法人の事業を前半で、国との関連が深い公益法人の事業を5月下旬に行う後半で仕分けることになっている。

 ここまでの議題設定は概ね理解できる。あとは、前回ややもすれば粗削りに過ぎ、議題ごとの時間配分も適切でないことが多かった議論をどうレベルアップさせ、限られた時間で濃密な議論を戦わせることができるのか――。筆者は少なからぬ期待とともに東京・日本橋の会場へと向かった。

2つの失望、質の低い議論と恣意的な仕分け対象の選択

 こうした期待は大きく分けて2つの点で見事に裏切られた。

 まず、議論の質が低い。独立行政法人の事業について議論するのに、「独立行政法人の理事長はどうやって選ばれるのか」「報酬はどのように決まるのか」といった調べればすぐ分かるような質問に多くの時間を費やす。