(2012年2月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
いまや中国の支配下にある旧ポルトガル領のマカオ。あまり馴染みのない旅行客は、通りに並ぶ高級時計店の数に驚かされるかもしれない。これらの店が相手にしているのは、流行の最先端を行く時計を求めているというよりは、むしろ中国からお金を持ち出す方法を探している中国人旅行客だ。
法の目をかいくぐり、資金を海外に持ち出す富裕層
多くの場合、宝石をちりばめた安物がクレジットカードで購入され、その場ですぐに返品される。愛想のいい店主が、クレジットカードでの購入を取り消す代わりに、現金での払い戻しに応じるのだ(もっとも返金額は購入額より若干少ない)。
マカオのカジノは、中国本土から押し寄せる旅行客でにぎわう〔AFPBB News〕
今年1月には、「壬辰(みずのえたつ)」の年を迎えるために中国本土から大勢の旅行客が殺到した結果、マカオのカジノ収入が前年比で35%増加した。
こうした旅行は一般に、中国からお金を持ち出すもう1つの方法だと考えられている。国外でクレジットカードを使って賭博をし、勝った場合には儲けを現金(外貨)で受け取ることで、本土から持ち出せる現金の法定上限(2万元=約3100ドル)をかいくぐるのだ。
東京では、銀行員や不動産ブローカーが驚嘆した様子で、デビットカードで不動産を購入する中国人についてささやき合っている。
一方、シンガポールでは政府関係者らが、最近制定された不動産投機抑制策は、お決まりのインドネシアの大富豪ではなく、中国の成金に向けられた措置だと話している。
指導部の世代交代で資金流出に拍車
中国からの資本逃避は、何年も前からよくある風景の一部だった。こうしたお金の持ち主は、共産党幹部や上場(特に中国国外での上場)を果たした国営企業の幸運な経営幹部、そして新たに富を手にした起業家などだ。しかし、政治の移行期には、中国からの資金流出がかつてないほど激しくなる。
今年10月には第18回中国共産党大会が開かれ、最高指導部の一連の交代の始まりを告げる。従来守られてきた人が庇護者を失うことになる指導部交代が、どんな結果をもたらすかは誰にも分からないのだ。
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