(2012年2月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
アジアで信用危機が発生するのではないかという恐怖感が後退している。欧州の銀行に対する資金調達圧力が弱まっているためで、これにより本拠地の欧州から遠く離れた地域の資産を売って銀行のバランスシートを縮小せよという圧力も弱まっている。
これはアジア全体にとって朗報だ。特に債券発行市場がまだあまり発達していないことなどから、アジア地域は経済成長の原資を借り入れに頼っているためだ。
とはいえ、欧州の銀行がアジアから多少なりとも手を引けば、ほかの銀行、特にアジア勢には商機となるだろうし、アジアの信用市場の変化にもつながるだろう。
「銀行向け量的緩和」で流動性が改善、資産売却が裏目に出ることも
ECBが期間3年の資金を魅力的な金利で銀行に供給したこともあり、欧州の銀行の流動性が改善した〔AFPBB News〕
欧州系銀行の流動性の改善は、欧州中央銀行(ECB)が期間3年の資金を魅力的な金利で銀行に供給する姿勢を取ったことによる部分が大きい。JPモルガンのエコノミストたちは、この資金供給プログラムを銀行向け量的緩和と形容している。
ただ、欧州の銀行は、積極的な資産売却は逆効果になりかねないことにも気づいた。ルールによれば、貸出債権が優良なものであれば、銀行がそれに対して積み立てる自己資本は債権額のわずか3%で済む。
従って、当該債権の評価額が額面と同じである場合、額面の97%を下回る価格で売却すると、銀行は自己資本増強に躍起になっているこの時期に自己資本を取り崩さなければならなくなるのだ。
フランス人のある銀行幹部は、「欧州の銀行は、自己資本が減らない場合にしか資産を売却しない」と話している。もちろん、既に評価額が引き下げられている資産は、その分、売却する動機は大きくなる。
欧州系銀行は投げ売り価格で保有資産を大量に売却する代わりに、ほかの銀行から魅力的な金利で資金を借りられるようにする事業体(ビークル)を設立している。こうしたビークルに最優良の貸出債権を担保として差し出すことで、ほかの手法を使う時よりも低い金利でアジアの銀行――特に日本の銀行――から資金を調達できるという。
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