牡蠣が食べられなくなる?高騰長期化のおそれ

津波の爪痕深い宮城産牡蠣、広がる影響

2012.02.03(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 牡蠣が美味しいシーズンだ。都内のオイスターバーのメニューにはズラリと国内産の牡蠣が並んでいる。広島産、長崎産、北海道産・・・。しかし、宮城県産がどこにも見当たらない。

 東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた宮城県の牡蠣養殖。気象庁の発表によると、県の2観測地点のうち三陸沖にある石巻市鮎川では、7.7 メートルの津波が押し寄せたと推測されている。

 宮城県の今シーズンの生産量見込みは例年の1割程度と激減。その影響は宮城県内だけに留まらない。宮城県は、孵化後まもない種牡蠣を全国に供給しており、シェアは全国一だ。今後、全国の牡蠣生産量に大きな影響を及ぼしかねない。

 今回は、宮城県の牡蠣養殖の復興と、今後の全国の牡蠣生産量を展望してみたい。

津波の爪痕大きく、全国の牡蠣生産量が減少

 農林水産省が2011年11月10日に発表した「平成22年漁業・養殖業生産統計」によると、「かき類」の全国の生産量は19万8800トン。津波の被害を受けた宮城県、岩手県などで生産量が減少したため、前年に比べて全国で1万1400トン(5.4%)減少したという。

 全国の牡蠣生産量に占める被災県の割合は、岩手県などを含めて33%。そのうち宮城県産は23%を占める。

 津波は大きな痕跡を残している。被災地の養殖施設の被害額は2011年8月23日時点までで1300億円に上る。津波の被害に遭ったのは養殖施設に留まらない。船や自宅を流されてしまった生産者も多い。港湾も壊れたままだ。養殖を再開する前に課題が山積している。

宮城産牡蠣の生産量は10分の1に激減

 宮城県漁業協同組合によると、今シーズン、宮城県でカキを出荷したのは18支所のうち7カ所のみ。予想される生産量は約420トンで、例年の約10分の1に留まる見込みだ。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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