5月7日に発表された米4月の雇用統計で、非農業部門雇用者数(前月差、以下同じ)は+29万人となり、市場予想中心を上回った。2月分と3月分が上方修正された結果(計+12万1000人)、増加は4カ月連続となった。今回の+29万人というのは2006年3月以来の大きなプラス幅である。また、トレンドを見る上で注目される6カ月移動平均は、3月からプラスに浮上した。

 雇用者数の内訳を見ると、政府部門が+5万9000人で、うち連邦政府による国勢調査関連の一時雇用が+6万6000人。民間部門は+23万1000人で、プラス幅は前月から拡大した。うち人材派遣が+2万6000人で、7カ月連続の増加を記録した。

 週平均労働時間(民間非農業部門)を見ると、34.1時間(前月比+0.1時間)。2カ月連続で増加した。うち製造業は40.1時間(同+0.2時間)。企業が新たに雇用を増やす前に、まず残業時間を増やしていることがうかがえる。

 時間当たり賃金(民間非農業部門)は、前月比横ばい。前年同月比は+1.6%で、プラス幅は2カ月連続で縮小した。米企業は生産性向上努力を続けており、ユニットレーバーコスト(単位労働コスト)は1-3月期も前年同期比マイナスになっている。賃金面からのインフレ懸念は乏しい。

 一方、4月の失業率は9.9%で、3カ月にわたって続いた9.7%という水準から上振れした(ちなみに下3ケタでは、3月が9.749%で、4月が9.863%)。内訳を見ると、パートタイム労働者の失業率が下がり、フルタイム労働者の失業率は上がった。労働市場参加率は65.2%で、前月の64.9%から目立って上昇した。景気がリバウンドしたことが浸透して、仕事を探す努力をもう一度してみようという人々が労働市場に再参入した影響が出たものと考えられる。