復興に向けて動き出した石巻の水産加工団地

水産庁、中小企業庁の支援で工場再建へ

2012.01.17(Tue) 高成田 享
筆者プロフィール&コラム概要

 東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた宮城県石巻市の水産加工団地に復興の兆しが見えてきた。

 2011年度の第3次補正予算で、沈下した土地のかさ上げが水産庁の漁港整備事業の一環として認められことになった上、工場の再建も、中小企業庁の施設復旧事業として補助金が出ることになったからだ。

 廃墟となった工場群の前で呆然としていた事業者も多かったが、土地のかさ上げに続いて工場建設という行程が見えてきたため、「年内にも工場を再稼働させたい」といった明るい声も出てきた。

工場の土地をかさ上げし、設備投資資金を補助

 石巻の水産加工団地は、石巻魚市場の背後地に県が造成したもので、約30万平方メートルあり、200社を超える水産加工会社が工場を連ねていた。

震災後の石巻水産加工団地 (筆者撮影、以下同)

 震災による津波で、ほとんどの建物が壊され、内部にあった製造設備、冷蔵庫、冷凍庫などもすべて使えなくなった。しかも、1メートル前後の地盤沈下が起きたため、団地内の窪地には海水がたまり、再建は難しい状態になった。

 このため事業者たちは、土地を自力でかさ上げして工場を再開しようとするところ、ここでの再建をあきらめ別の工場用地の取得を目指したところ、再建をあきらめ廃業を決めたところ、様子見のところと対応が分かれていた。

 民間企業の保有する土地を公的な資金でかさ上げするのは難しいと見られていたが、水産加工団地が復活しなければ、全国有数の水揚高を誇った石巻漁港の復活もないということで、最終的には、水産庁の「漁港整備事業」でかさ上げが決まった。

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1948年生まれ。東京大学経済学部卒業。71年に朝日新聞社に入社。山形・静岡支局員、東京経済部員、アメリカ総局員(ワシントン)、経済部次長、アメリカ総局長(ワシントン)、論説委員などを歴任。96年から97年にかけてテレビ朝日「ニュースステーション」キャスターを務める。定年後にシニア記者として2008年1月より2011年2月まで石巻支局長。2011年4月より仙台大学教授。仙台白百合女子大学非常勤講師、前橋国際大学客員教授。農林水産省太平洋広域漁業調整委員会委員。主な著書に『ディズニーランドの経済学』(共著)、『アメリカの風』、『アメリカ解体全書』(共著)、『榎本武揚』(共編著)、『こちら石巻 さかな記者奮闘記』『話のさかな・コラムで読む三陸さかな歳時記』(共編著)などがある。


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