【お断り】JBpressのメールマガジン「Business Agenda」が2010年1~3月に連載した「私のメディア活用法」から抜粋し、編集したものです。

内山郁夫・日本ケミコン社長
私のメディア活用法(6)

内山 郁夫氏(うちやま・いくお) 新潟県出身 1977年宇都宮大大学院卒、日本ケミコン入社 99年材料事業本部新潟工場長 2001年取締役 03年6月から社長
(撮影・前田せいめい)

 毎朝、日経新聞の全ページに必ず目を通す。トレンドを把握するためには、日経ビジネスを読む。このほか、「海外から日本がどう見られているか」といったニュース記事をできるだけグーグルなどでチェックする。

 仮に新聞社が電子媒体にシフトしても、「紙」の新聞は残っていくと思う。(企業のトップは)時間に追われているから、短時間で色々な情報、経済記事から一般ニュースまでチェックするには、どうしても「見に行く」というより、紙で提供される数ページを見る方が早い。

 正直言うと、日経ビジネスなども隅から隅まで読むわけではない。自分の気に入ったページだけを破り、それ以外は捨ててしまう。新聞も次の日に読んだら全く意味がないから、必要なところだけをピックアップする。それにはやはり紙の方が早い。

 その一方で、全体観が必要になる。しかし「検索して見に行く」場合は、それを得るのが難しい。若い人に言いたいのは、新聞で全体観を得てから、興味のある事柄を調べなさいということ。最初から細かいところだけ攻めていても全体は見えてこない。

グローバル時代なのに、テレビ・新聞は日本人相手だけ

 テレビを見る時間はあまりないが、NHKに限らずできるだけニュースをチェックする。今のテレビ番組は、あまりにギャラの安い人を集めてつくるのが一般的になってしまい、私が見ても全然分からない。

 テレビは日本の色々なカルチャーを取り上げてほしい。グローバル化して海外でも日本の番組を視聴できる時代なのだから、日本人相手だけの番組はもう止めてほしいと思う。

 新聞にも同じことが言える。「日本があって世界がある」のではなく、まず世界があって日本は「one of them」でしかない。私は日本を大事にしていきたいが、このままでは世界に呑み込まれて駄目になってしまう。メディアがやるべきことはまだまだ沢山あると思う。

(構成=中野哲也・日本ビジネスプレス編集主幹)