新・地方自治論

田舎の土地は持ち主不明?

日本の「所有権絶対」主義が地方を蝕む

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今回は前回の続きとして、土地や田畑、店舗などの所有者が都会に出てしまった、田舎での困った現実をお話しします。

 前回は、地方では低密度に分散して家が建っていることにより公共交通機関、特にバスの路線が維持できないことや、分散して建っているお年寄りの家を回るのに時間がかかるため、民間の福祉サービスが成り立たなくなっていることなどをお話ししました。

 また、地方都市の中心部でも、廃屋や、廃屋が取り壊されて駐車場になったところが目立ってきているというお話をしました。「都市の骨粗しょう症化」という問題です。

 先日、ある都市計画の専門家とこの問題について意見交換をしたところ、この方のお話では、東京の中野区の木造家屋密集地帯でも、このようなスカスカになっていく現象が発生しているそうです。

 また、新潟県の東京に近いスキー場周辺のリゾートマンションでも、同様の現象が発生しているそうです。確かにバブルの頃に建設されたマンションなら、そろそろ大規模修繕の時期ですが、空き部屋になっているマンションに修繕費用を出すわけもありません。修繕ができないので、ますます入居する人はいなくなります。

畑の所有者は何十年も前に亡くなっていた

 6年前に佐賀市の農村部にある小学校の体育館を建て直そうと計画していた時のことです。どうしても学校用地を買い増す必要があり、市役所の担当者は学校の隣の荒れた畑を用地買収しようと考えました。

 しかし、土地台帳を調べてみると、所有者がすでに何十年も前に亡くなっています。亡くなっているにもかかわらず、土地の名義は相変わらずそのままなのです。

 所有者は明治時代に生まれた人のようで、調べてみると相続人である可能性のある人が100名近くになりかねないということが分かりました。このようなことはそんなに珍しいことではありません。相続の協議が揉めて、結局、その名義変更がなされていないのです。

 相続人が何十名にもなると、今どこに住んでいるのかを特定するのに相当の時間がかかりますし、また、全員の居所を突き止めることができない可能性もあります。

 この時は、たまたまその荒れた畑とは別に、条件は多少悪くなりますが、所有者のはっきりしている土地がありましたので、その土地を買収することで切り抜けることができました。

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