日本企業は相変わらず中国に熱い視線を注いでいるが、ビジネスを展開する際にカントリーリスクが高い国であることは周知の事実である。

 今回は、私が中国でインターネットを利用してみた体験から、中国で業務としてITを使う場合のリスクや、中国市場にITサービスを提供する際の注意点などについて考えてみたい。

フェイスブックのウォールに書き込めない

 つい先日、1週間ほど上海に出張で出かけた。

 上海には6~7年ほど前、自社のオフショア拠点を設立する目的で頻繁に渡航していたが、それ以来の渡航であり、久しぶりとなる。

 ちなみに、当時は結果的に上海にはオフショア拠点を設立しなかった。理由としては、(1)中国人の従業員は少しでも給料の高い企業があると、すぐそちらに動いてしまう、(2)物価が上昇傾向にあった、という2点が見られためである。

 その後、候補地を選定し直し、最終的にはベトナムとフィリピンのどちらかということになった。そして、結果的にフィリピン・セブ島にオフショア拠点を設立した。物価の安さと、住民がネイティブレベルの英語を話せる、というのが選定理由である。

 中国については、物価の上昇が一段落し、経済が十分に発展した時を見計らって、今度は市場開拓のために改めて上陸しようと心に誓った。ようやくその時が訪れたのである。

 さて、話を元に戻すと、2005年前後に渡航していた際は、ネットを使うといっても、メールチェックや簡単なネットサーフィンのみだった。回線の遅さや、ホテルに戻って接続しなければならないといったストレスはあったものの、「何かができない」という不便は感じなかった。

 現在の中国で感じるのは、そういう物理的なストレスではなく「不自由さ」である。

 中国ではフェイスブック、ツイッター、Gmailなどは使えない。今回はWiFiルーターを借りていったのだが、それらのネットサービスも当然使えない。