米国では、企業のロゴ入りTシャツを着て宣伝するだけのシンプルな広告ビジネスが、にわかに注目を集めている。

iwearyourshirt.com創設者のジェイソン・サドラーさん(左)とPR担当のエヴァン・ホワイトさん(右)。愉快なポーズもコーポレートアイデンティティーの一環

 “iwearyourshirt.com(あなたのTシャツ着ます)” という、なんともシンプルなネーミングのビジネスは、フロリダ州ジャクソンビルに住むグラフィックデザイナーのジェイソン・サドラー(27歳)さんが考案した。2009年1月にスタートし、同年8月には年内すべての広告枠(日程)が完売。初年度の売り上げは8万4000ドル(1ドル90円換算で約756万円)と、たった1人で始めたベンチャービジネスとしては申し分のない成果が上がった。

 2010年1月から、ロサンゼルス近郊に住むエヴァン・ホワイトさん(25歳)が加わり、現在2人がそれぞれの自宅を拠点にTシャツを着てキャンペーンを行っている。フロリダも、南カリフォルニアも、年中Tシャツで過ごせる温暖な地域である。

ツイッターなどSNSをフル活用

ホワイトさんがUstreamで配信する生放送には、毎日のべ1万5000人がアクセスする

 有名人ならいざ知らず、名も無き若者がTシャツを着たところで誰が注目するのか? そこでサドラーさんは考えた。フェイスブック(Facebook)ツイッター(Twitter)といったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じてTシャツ姿を徹底的に露出すれば、広告として成立すると見込んだのだ。

 彼らは、フェイスブックやツイッターを1日に20回以上更新し、Tシャツ姿の写真を見せながらキャンペーンを展開する。現在彼らのフェイスブックには6000人以上が “友達” として登録し、ツイッターには2万人以上の “フォロワー” がついている。

 さらに彼らは、毎朝Tシャツ姿をビデオに撮影し動画共有サイト・ユーチューブ(Youtube)にアップロード。また、午後にはストリーム動画共有サイト・ユーストリーム(Ustream)を通じてキャンペーン告知の生放送を行う。ユーチューブの iwearyourshirt.com のチャンネルにアップロードされた動画は、平均で300回以上再生されている。ユーストリームの生放送には、毎回およそ1万5000人がアクセスしている。