(英エコノミスト誌 2010年3月13日号)
日本の捕鯨は国際社会の非難の海に飲まれている。だが、近く妥協案が見つかるかもしれない。
日本の捕鯨活動は国際社会から非難されている(写真は南極海を泳ぐミンク鯨の群れ)〔AFPBB News〕
もしあなたが、噛んだ時に脂身以外あまり味のしないスジ肉の厚切りがお好みなら、きっと鯨肉を気に入るだろう。食感に加えて言えば、鯨肉には水銀が蓄積されている。これらの知的哺乳動物の捕獲がもたらす被害や、それらを絶滅へ追いやる軍事・産業的アプローチを考えてみてほしい。
オスカー・ワイルドの言葉を借りるなら、日本の捕鯨への固執は、ほとんど食べるに耐えないものを追いかける不快な行為だ*1。英国のキツネ狩りと同じように、捕鯨も見解の折り合いがつかないかに見える。
1986年以来、国際捕鯨委員会(IWC)は商業捕鯨にモラトリアム(一時禁止)措置を課している。それにもかかわらず、日本は南極が夏を迎えると毎年、捕鯨船を南方に走らせ、何百頭もの鯨を「調査」のために捕獲する。そして毎年、捕鯨賛成国と反対国がIWC会議に集まっては、睨み合いを続けるのだ。
捕鯨の現場では、日本の捕鯨船はシー・シェパードの抵抗に出くわす。海の戦士たちは日本の捕鯨船のデッキに腐ったバター(酪酸)を投げつけ、プロペラに綱を絡ませ、捕鯨船船長の市民逮捕を企てる。今年初め、シー・シェパードの小型船が日本の捕鯨船に衝突した後、沈没した。
そして今度は、米国の映画が日本沿岸で行われている鯨類の漁にスポットライトを当てた。大部分が隠し撮りによって撮影された映画「ザ・コーブ」は、本州の太地町(和歌山県)で毎年行われるイルカの虐殺を描いた作品で、先日オスカー賞を受賞した。
オーストラリアのラッド首相は、日本が捕鯨をやめなければ提訴すると警告した〔AFPBB News〕
鯨やイルカの虐殺は、海外の一般人が抱く日本のイメージを傷つけた。今ではオーストラリア――アジアの中で日本と最も親しい国――との関係さえ危うくなっている。
同国のケビン・ラッド首相は、日本が次の捕鯨シーズンが始まる11月までに捕鯨活動を断念しなければ、日本を国際司法裁判所に提訴すると警告した。
これに対し、日本は捕鯨賛成の立場をいよいよ硬化させたように見える。日本の捕鯨団体は間接的な脅しをかけ、映画配給会社に日本でザ・コーブ上映を見送るよう迫っている。南極海における日本の調査捕鯨の不正を暴いたと主張する環境保護団体グリーンピースの活動家2人は現在、公判中だ。
*1=オスカー・ワイルドは劇中で、英国紳士のキツネ狩りについて“the unspeakable in pursuit of the uneatable”というセリフを使った
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