会計基準と規制の国際調和はまだ遠い先

リーマン破綻報告書の教訓を生かせ

2010.03.17(Wed) Financial Times

Financial Times

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(2010年3月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

米リーマン・ブラザーズの破綻に関する2200ページに及ぶアントン・バルカス氏の調査報告書は、多くの投資家や政治家を憤慨させた。しかし、米国や欧州の銀行幹部の一部が見せた反応は、むしろ顔をしかめたり、うめき声を上げるといったものだった。

 リーマンが会計規則や規制上のトリックを利用していたことが明らかになり、銀行業界以外の多くの人は驚いたかもしれないが、この業界に関する外聞の悪い秘密は、リーマンが行ったこの種の国際的な計略は、実は多くの同業他社でも行われている取引の(ほぼ間違いなく)極端な例に過ぎないということだ。

 それ以上に外聞の悪い秘密――そして一部の政治家がうしろめたく感じるであろうこと――がある。この種の計略は、恐らく今後もなくならないということだ。

規制のアービトラージはなくならない

 リーマンが悪用したような国境を越えるアービトラージの蔓延を招いた背景――すなわち世界の規制・会計制度が細分化されている状態――は、解消の方向に向かっているようには見えない。それどころか、昨今の流れを見る限り、この分断は遠からず拡大する可能性もある。この傾向は常識に反するばかりでなく、リーマンの調査報告書が示すごく基本的な教訓に逆らうものでもある。

 連邦裁判所の依頼を受けて調査を行ったバルカス氏が報告書の中で特に詳細に記しているのが、「レポ105」と呼ばれる仕組みをリーマンがどのように利用したか、という点だ。レポ105はレポ取引の一種で、これを使ってリーマンは見かけ上のレバレッジを小さくしていた。

 英国の法律事務所リンクレイターズが明らかにこの手法を合法と認めたため、リーマンはレポ105を広く活用した。しかし、これについては、米国の法律の下での妥当性に疑問を投げかける法律家もいる。別の言い方をすれば、レポ105を促したのは、一種の「フォーラムショッピング*1」だったのだ。

 そしてこの状況は明らかに、国際金融の指導者たちが早急にこの種の抜け穴をふさぐ必要があることを示唆している。そのためには、会計規則と金融関連法に関して、欧州と米国(あるいは最低限ロンドンとニューヨーク)の間で今以上の調和を図らなければならない。

*1=法律が自分に有利な国や地域を選んで提訴する訴訟戦術

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